「こう見えて一途なんだよ?」


 言うと同時に「嘘をつけ」と否定された。

「あ、ひどい。甲ちゃん、おれの愛を疑うの?」
「お前の愛を疑いはしないが、今の言葉は嘘だな」

 好奇心の塊のような人間が一途なはずがない、と、皆守は決め付ける。

「うー、じゃあどうしたら信じてくれるの?」

 おれは甲ちゃん一筋だよ?

 確かに学園の中でいろいろな人と仲良くなってはいるけど、それはトモダチの範囲内。他人から見ればその範囲がちょっと友達を行き過ぎてるのかもしれないが、葉佩の中ではただの友達だ。

「ただの友達じゃないの、甲ちゃんだけなのに」

 そう言ってむくれる葉佩へ視線をむけて、皆守は手にしていたアロマを咥えた。

「そうだな、ずっとそう言い続けてたら信じるかもな」
「ずっとってどれくらい?」

 ふわり、と漂うラベンダーの香り。小学生のような葉佩の問いかけに苦笑しながら、皆守は「一生」ときっぱりと言い切った。
 その言葉に一瞬目を見張った葉佩だが、すぐに笑みを浮べて「それくらいなら軽い軽い」と答える。

「だっておれ、こう見えても一途なんだよ?」


**


甲ちゃん一筋。






「俺の嫁にきてみない?」


 好きなんだよ、と葉佩は嘯く。好きで好きでたまらないのだ、と。その対象は何だ、と問うたところ、「甲ちゃんと仕事」と二つ、答えが返ってきた。

「前者は納得しかねるが、後者についてはそうだろうな」

 愛の告白をあっさりと流して、皆守はそう言う。
 太陽を真上に拝む校舎の屋上。そろそろ五限目が始まろうか、という時間。

「うん、だからね、おれの嫁にきてみない? 甲ちゃん」

 どうして今の会話が「だからね」とつながるのか一切理解できず、眉を潜めて葉佩を睨む。

「だっておれ、どっちも手に入れたいもん。だけどここでの仕事が終わっちゃったら甲ちゃんと離れちゃうし、ここにずっといたら仕事できないし」

 だから、と葉佩は言う。

「何ならおれがお嫁さんでもいいよ」

 相手が甲ちゃんならなんでも。

 あっさりと軽く言われた言葉。
 普通ならばまずその言葉が本気かどうか分からず困るのだろうが、葉佩の場合は完全に心の底から本気なのが分かるから余計に困る。

「考えとく」

 それだけを返して、皆守は思う。

 彼のこの学園での仕事が終わる前にどちらかが死ねば、今の言葉に困る必要もないだろう、と。


**


死ぬこと前提。






「青春したいんだけどどうすりゃいいの?」


 葉佩が真顔でそう尋ねるものだから、皆守は思わず「恋愛でもしたらいいんじゃねぇの」と答えてしまった。常ならぬ自分の答えに気恥ずかしさを覚えながら葉佩へ視線を向けると、彼はふふっと楽しそうに笑みを零す。


「じゃあ甲ちゃん、おれと青春しよう」


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うちの葉佩は甲太郎大好きっ子です。






「助けてっ愛と希望だけが友達のパン!」


 あまりにも気持ちよさそうに寝てたものだから、隣で一緒に寝ようとしたら蹴りを入れられた。暑苦しいから引っ付くなというのがその理由。

「うわーん、ひどいよ、甲ちゃん。苛めっ子だー」

 そう嘘泣きをしたら今度はうるさいとまた蹴りを入れられた。

「ひどいひどい、甲ちゃんが苛める! 助けてっ愛と希望だけが友達のパン!」

 三度目の蹴りの理由はアンパンじゃなくてカレーパンにしとけ、だった。


**


何故帰国子女がアンパ○マンを知っているのか。






「悔しくて、悔しくて、八つ当たりしちゃいそう」


 一番はライフルだが、基本的に銃器なら何でも好きだ。金にものを言わせて手に入る限りの銃を集めたいと思うし、手に入れたら使ってみたいとも思う。

「っていうかさ、酷くない? おれは毎日のように言ってるわけよ」

 今日のお供はいつものアサルトライフルではなく連射可能なマシンガン。

「それこそうざいって言われるくらいだけどさ、でもやっぱり言いたくなるもんでしょ」

 タタタタタン、と乾いた音がリズミカルに連なる。

「好きなものは好きなんだよ。愛してるの。だから毎日のように愛してるよーって言ってるのに」

 化人が崩れ落ちる前に次のターゲットを探して捉える。

「甲ちゃんってば一言も返してくれないんだよ。『俺も』って言葉すらないの!」

 銃口を向けると同時に引き金を引く。弱点を狙うなどとせこいことをせずにAP大盤振る舞いのマシンガン連射。

「もうおれ、悔しくて、悔しくて、八つ当たりしちゃいそう!」

 H.A.N.Tから流れる「敵影消滅」の機械的な声に、「……もう十分八つ当たりしてると思うけどな」という呆れた声が重なった。


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銃火器大好き葉佩くん。




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2009.05.05
















セリフお題九龍その1。
九龍、プレイしたくなってきたな。