「折角髪の毛を切ったのに、誰も気づいてくれません。どうアピールしますか?」


 幻水1:1主セツナとルックの場合


「うーん、バンダナしてるから、そんなに気付かれることってないんだよね」
「君の場合、切り方が女々しいんだよ。毛先を一ミリとか。バンダナしてなくても気づかれないよ」
「だって今の髪型気に入ってるしぃ。いちいち髪の毛の気を使うのもね、面倒くさい」
「その点については同感だね。切ったことを人に気づいてもらう必要があるとは思えない」
「だよねー。誰が何しようが、俺がどうしようが、関係ないじゃんねぇ。あ、でもルックは別だからね? 関係大ありだからね?」
「なくて結構」
「そんなこと言わずにさー。ていうか、ごめん、話変わるけどさ、ルックのその髪の毛って、自分で切ってる?」
「そうだけど?」
「あー……じゃあ、もしかして切り揃えやすいからその髪型?」
「まあね。左右の長さが揃えやすいから」
「なんていうか、ルックらしいっていえばそうだけど。見た目繊細そうなのに、実はものすごい大ざっぱで適当だよね、ルックって」
「僕から見たら他が細か過ぎるんだよ」
「大ざっぱっていうか、拘りとか執着がないって言った方がいいのかな」
「……何が言いたいの?」
「んー? 別に? ただ少しだけ、何かに執着してくれてもいいのに、とは思うよ」
「その対象が君でなくてもいいの?」
「うーん、迷うところだけどね。それでルックが生きてくれるなら」
「………………人を勝手に殺さないでよ」


**


マナーとしての身だしなみ程度にしか興味はないらしいです。






「折角髪の毛を切ったのに、誰も気づいてくれません。どうアピールしますか?」


 幻水4:4主サイハとシグルドの場合


「おれは……たぶん、自分からは言い出せない、かな」
「サイハさまはそうでしょうね。もともとあまりご自分のこと、話されませんし」
「しゃべるの、苦手。言葉選ぶの、下手だし」
「そんなに口べたってわけではないと思いますよ? ちゃんと考えて話されてるのが分かりますし、俺はサイハさまの言葉も、サイハさまと話をするのも好きです」
「……ありがと。おれもシグルドの言葉は分かりやすいし、優しいから好き」
「ありがとうございます」
「…………」
「…………質問からずれてますね」
「だよね。ええと、だから、おれは自分では言わないし、アピールもしない、ってこと」
「俺もです。でもあれですよね、髪の毛を切ったあととか、人に会うのが少し恥ずかしいのはなんなんでしょうね」
「ちょっと緊張するよね」
「しますよね。別に気づいてほしいわけではないんですけど」
「変、って言われたくないって思ってるからかな」
「ああ、そうかもしれませんね。何も言われなければ変じゃないってことか、って安心できる、とか」
「あ、ねえじゃあ、シグルド、次に髪切ったら一番におれのとこに来てね」
「サイハさまのところに?」
「うん、たぶん、気付けなくても、おれなら絶対に『変』って言わないから」
「確かに、サイハさまはお優しいですからね」
「そうじゃなくて、どんな姿でも、おれにとってはシグルドは一番カッコいいから」


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背中が痒い。






「折角髪の毛を切ったのに、誰も気づいてくれません。どうアピールしますか?」


 幻水TK:TK団長レッシンとリウの場合


「レッシンはそれ以上どう短くするんだ?」
「知らねぇよ。つか、今はたまたまこれ以上切れねぇだけだっつの」
「いやまあそうだけどさ。オレは別にアピールとかしない。気づかれなくても全然平気。そういうの気にするのって女の子くらいじゃね?」
「だよな。こないだマリカが髪の毛切ってたっけ」
「分かってたけどわざわざ言うのもなー、とか思ってたら、『ちょっとは何か言いなさいよ』って怒られた」
「オレは分からなかったぞ。だってあれ、ちょこーっと短くなってただけじゃん」
「や、まあ、確かに髪型が変わったわけじゃなかったけど、十センチくらいは短くなってたじゃん。気づけよ」
「分かるか。そりゃリウが十センチ髪切ったら分かるけど」
「……お前の場合それって、相手がオレだからじゃなくて、見た目が大きく変わったから、って意味だよな」
「? そりゃそうだろ。見た目変わんねぇと気づきようもなくね?」
「そうなんですケドねー……」
「ああ、でもそういや、ちょっと前にシス姉に捕まって、自分でも分かんねぇ程度に髪切られたとき、あの電波にゃ気づかれたな」
「電波? メイベル?」
「そうそう。部屋の前で『髪切った?』って聞かれて、すげぇ驚いた。あいつの目はどんな目、してんだろうな」
「そりゃ恋する乙女の目でしょ」
「……ふぅん。じゃあ、あのときリウも気づいてた?」
「……なんでそれが『じゃあ』で続けられるのかが分かんないんですけど」
「『恋する乙女の目』だったら気づくんだろ?」
「待て待て! オレは恋する乙女じゃねぇっ!」
「でも『恋する』は合ってるだろ?」
「う……」
「で、気づいてた?」
「…………」
「リウ」
「ッ、気、づいてた、よっ! 悪ぃかっ!」
「いや、全然」


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なにこの乙女。






「折角髪の毛を切ったのに、誰も気づいてくれません。どうアピールしますか?」


 幻水TK:マリカとジェイルの場合


「『見て!』って言って、目の前で一回転してみる、とかってこと?」
「前転?」
「なんででんぐり返りしなきゃなんないのよ。そうじゃなくて、こう、くるって」
「…………」
「ジェイル、無言で抱きつくの、止めて」
「……可愛かったから、つい」
「……あ、そ。それはありがとう。でも、たとえ回ってみても、気づいてくれない気がするのよね、あんたたちは」
「……そうでもない、ぞ? たぶん」
「いや、無理ね。リウはそういうところ敏いし、回りをよく見てる子だから気づいてくれそうだけど、レッシンとジェイルは絶対無理。現にこないだ切ったとき、気づいてくれなかったじゃない」
「…………ばっさり、切れば」
「そんなことしたら誰だって気づくでしょ。そうじゃなくて、ちょっとした変化でも気づいてくれるんだ、ってところがポイント高いのよ」
「……分かった、努力する」
「ジェイルはアピールとかしないでしょうね」
「しないな。別に気づかれなくても問題はない」
「まあ、そうだけどー……ていうか、あんた、いつまで抱きついてるつもり?」


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抱きついたままだったのか、お前。




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2010.03.30
















ジェイルはむっつり。