「初恋はいくつでどんな人でしたか」


 葉佩と皆守の場合


「えーゆわなきゃだめ?」
「いや、別に。言いなくなきゃ言わなくてもいいんじゃないか?」
「ちょっ! なにそれ! 甲ちゃん、仮にもコイビトの初恋の人とか、気にならないのっ!?」
「お前、言いたいのか言いたくないのか、どっちなんだよ」
「そこが複雑なオトコゴコロ」
「…………悪いな、まったくもって理解不能だ」
「つれないー。でもそこが好きー」
「で、結局答えるのか答えないのか、どっちだ」
「うーん、ていうかごめん、覚えてないんだよね。友達とかはいっぱいいたけど、特別に誰か好きってのはあんまり記憶にない。ってことで、甲ちゃんは?」
「ノーコメント」
「ええええっ! ずるいっ!」
「ずるいって、九ちゃんだってほとんど答えてねぇようなもんだろ」
「でもずるいっ! ずるいずるいずるい!」
「あー、うるせぇな、ったく。小学三年、同じクラスの女子。これでいいか?」
「…………絶対ウソだ、それ」


**


「だって甲ちゃんが具体的な学年とか覚えてるはずがないもん」






「恋人にプレゼントしたいもの」


 葉佩と皆守の場合


「おれ自身!」
「願い下げだ」
「返品不可!」
「めげないな、九ちゃんは」
「唯一の取り柄!」
「いやまあ、他にもいいところはあるだろ、お前……」
「ほんと!? やった、甲ちゃん大好き! で、甲ちゃんは何くれんの?」
「あー……そうだな、アロマ、とか」
「うーん、甲ちゃんがくれるなら何でも嬉しいけど、貰っても使わないかもなぁ」
「匂いが身体につくとまずいか?」
「んにゃ、だって身体に匂いつけるなら甲ちゃんの匂いがいい」


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「もう十分ついてる気もするけどな……」






「あなたの宝ものを見せてください」


 葉佩と皆守の場合


「ねぇ甲ちゃん、おれ思うんだけど、秘宝と宝物ってのは違うのかな」
「……ああまあ、秘められた宝、だからな秘宝ってのは。ただ、今答えるべきなのは九ちゃんの宝、だろ。『見せてください』だし見せられるものじゃないと駄目だろ」
「ん、そっかー。ああ、じゃあ、はい、おれの宝物」
「……なんで俺を押す?」
「や、おれの宝物。世界に一つしかない超レア品」
「……いつ誰がお前のものになったんだ?」
「え? あれ? 違うの?」
「…………どうだろうな」
「えぇー……まあいいけどぉ……入手困難な方が燃えるしね!」
「入手困難なのはむしろお前のほうだろ……」


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ゲットトレジャー!






「恋人からプレゼントされたいもの」


 葉佩と皆守の場合


「『皆守甲太郎』!」
「……九ちゃん、『プレゼントしたいもの』と答えが似通ってるぞ」
「だって! 物とかは自分で手に入れられるもん」
「ああ、まあお前はそうだろうな」
「甲ちゃんは?」
「……じゃあ俺は『葉佩九龍』で」
「マジで!? っていうか、おれもう甲ちゃんのものだよ?」
「全部寄こせ」
「……どっからどこまで?」
「頭のてっぺんから足の先まで」
「んー、もう全部甲ちゃんのもんだと思うけど……」
「生ぬるい。全部っつったら全部。過去も今も未来も、生きるも死ぬも、何もかも全部、だ」
「うぁー……なんか、皆守さんがすっごい殺し文句ゆってるぅ……」


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普段は押せ押せなのに、たまに押されると照れる。






「おにぎりを作ってください」


 葉佩と皆守の場合


「ほら」
「うお、ある意味予想通りで予想外!」
「どういう意味だ」
「や、甲ちゃんのことだから、割ったらカレーのルーが出てくると思ってた。まさかドライカレーでおにぎり作ってくるとは。つか、カレーと海苔って意外に合うね」
「カレーは何にでも合う」
「そこまできっぱり言われるといっそ清々しいよ。で、甲ちゃん、おれのおにぎりの感想は?」
「普通に美味い。九ちゃんこそもっと冒険してくると思ってた」
「食べ物で冒険はしませんよ? 冒険するなら身体使ってしてくるもん」
「……ただ、九龍、一つ聞くが」
「ん、なに?」
「具のイクラ、どこで手に入れたどこ産のものだ?」


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「甲太郎、世の中には聞かない方が幸せなことも……」




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2012.01.14
















葉佩が真面目な顔をしているときはろくなことが起こりません。