「恋人にプレゼントしたいもの」


 ユーリとフレンの場合


「オレはあれだ、油」
「油? 料理用の?」
「違う違う、鎧磨くときに使うヤツ。騎士団ってまだあの匂いのひでぇやつ、使ってんだろ?」
「まあ、支給されるものがあれだしね。使い勝手は悪くないし」
「こないだ、ギルドでいいの使ってる奴らがいてさ。ちょっと触らせてもらったけど、匂いもそんなに酷くなかったし、結構伸びて使えそうなヤツだったんだよ」
「それは興味あるね」
「だろ? 今度二、三個手に入れとく。ついでに値段と流通ルートも調べとくから」
「安くなるならそっちに切り替えるって手もあるね。ありがとう、ユーリ」
「おう、任せとけ。で、お前は?」
「僕はこの間カプワ・トリムで見かけた『自宅で作れるジェラートセット』かな」
「なんだ、それ」
「家で簡単にジェラートが作れるセット。ちゃんとお店で売ってる味と食感に近くなるんだって」
「へぇ。そりゃいいな、わざわざ買いに出かけなくても自分ん家で食えんのか。……でもそれ、どっちに置いとくか悩むな」
「僕のところと、ダングレストのアジト? 両方に置いておけば?」
「あ、それ名案。じゃあ二個くれ」
「はいはい」


**


ユーリさんは遠慮しません。






「恋人にプレゼントしたいもの」


 カロルとレイヴンの場合


「んー、そうねぇ、おっさんはあれね、手袋とか防具系」
「え? なんで?」
「や、だって少年、どっちかっていうと武器メインに買い物するじゃない。防具も大切よって年寄りは思うわけ。特に手と足はね、しっかり保護しとかないとまともな力が出せなくなるから」
「わーなんかレイヴンが真面目なこと言ってるー」
「何よ、失礼ね、俺様いつでも大真面目よ?」
「あはは、じゃあそういうことにしとく。ボクはねーそうだな、煙管とかかな」
「あれ? おっさん、少年の前で煙草吸ってたことあったっけ?」
「んーん、見たことはないよ。でもほら匂いとか。吸うのかなーって思ってたから。ボクの前では吸わないようにしてるっぽいし、だったら黙っておいたほうがいいのかなとか思ったけど、我慢してもらいたくないなってのもあるし」
「別に我慢してるってほどでもないんだけどねぇ。ほら、副流煙とかね、やっぱり少年の身体によくないじゃない?」
「でも、吸うんでしょ?」
「えーっと、うん、まあ、はい」
「じゃあ今度煙管、あげるね」


**


カロルに押され気味な部分もレイヴンは楽しいそうです。
おっさん、煙管って吸ってたっけ?






「あなたの宝ものを見せてください」


 ユーリとフレンの場合


「オレ、あんまりそういうのはねぇな」
「ユーリは昔からそうだよね、物に執着しないし物欲もないし」
「お前だって似たようなもんだろ」
「僕は大切なものたくさんあるよ。昔ユーリが描いてくれた絵とか、まだ持ってるし」
「………………まじ、で?」
「マジで」
「……オレ、絵とか描いたっけ?」
「こんな剣が欲しいよね、とか、そのとき絶対に手に入らない物を描いてたよ、二人で」
「つか、物持ち良すぎるだろ、お前」
「なんとなく捨てられなくて」
「それでよくあれだけ部屋が片付けられてんな」
「ユーリが片付けなさすぎるだけ。それに君がくれたものって少ないからね」
「なんか、オレがケチみてぇな言い方……ああ、違うか、オレがやるっつったら大抵食い物ってことか」
「その通り。ユーリが作ってくれるものはお菓子もご飯も全部美味しいから、僕は嬉しいよ」
「そりゃどうも。そうかフレンから貰ったもの……」
「あんまりないんじゃないかな。記念に何かを、って関係じゃないし」
「だよな。なんか、毛布とか服とか、生活用品系は記憶にあるけど。基本消耗品だよな、お前がくれるのって」
「使ってもらえて、あとできるだけ僕を思いださないようなものの方がいいな、って思って」
「……前者は分かるけど、後者はなんでだ?」
「だって僕を思いだしてむらむらされたら困るじゃないか」
「…………」
「あまつさえ抑えきれなくて一人えっちとかされたらと思うと、悔しくて眠れなくなるよ」
「………………お前、騎士団員だからって、想像力まで鍛えなくてもいいからな?」


**


いちゃらぶじゃないオチにしようと悩んでいたらエロオチがあるよ、とアドバイス頂きました。
思いついたのがこれでした。






「あなたの宝ものを見せてください」


 カロルとレイヴンの場合


「宝物? この間買った新しい武器とか? でっかいハンマー!」
「あら、意外」
「へ? なんで?」
「いや、少年のことだから、『レイヴン』って言うかしらって思ってたから」
「え? だって、『宝物』でしょ?」
「……おっさんは宝物じゃないの?」
「レイヴン、『物』じゃないじゃん。ええと、『宝人』? ならレイヴンって答えるよ」
「ああ、なるほど、そういう意味で。おっさん、一人で自惚れてるのかとちょっと凹んじゃったわ」
「あはは、レイヴンって可愛いよね!」
「そぉ? ありがと、少年も可愛いわよ」
「えー、ボク、可愛いよりカッコイイほうがいいなぁ」
「じゃあ可愛くてカッコイイ、ってことで」
「ね、レイヴンは? レイヴンの宝物」
「おっさん? そうねぇ、ちゃんとした『物』だったらやっぱこれかしらね」
「レイヴンの、魔導器? 心臓の代わり、だよね?」
「そ。これがなかったらおっさん今こうして動けてないし、少年と話もできないし、ちゅーもできないから」
「だから宝物?」
「最近ようやくそう思えるようになったってとこ。カロルのおかげ」
「えー、ボク何にもしてないよ?」
「いいのよ、それで。少年はそこにいてくれるだけで」


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一応言葉の意味として「物」は物体だけを指すわけじゃないですよ、カロル先生。




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2012.01.14
















むずがゆい。レイカロが特に。