「恋人からプレゼントされたいもの」


 ユーリとフレンの場合


「婚姻届?」
「……その前に法律変えろ。男同士じゃ無理だ」
「ヨーデル陛下にお願いしたらなんとかなるかな……」
「すんなよ、マジで」
「え、なんで? 結構本気だけど」
「…………つか、正直、今更結婚とか、そういう形に拘るか?」
「んーまあ、確かに今更ではあるんだけどね。ほら、普通の男女の恋人同士でしていることを大抵したのに、結婚だけできないっていうのも悔しいだろ」
「オレもだけど、お前も大概負けず嫌いだよな」
「ははっ、否定はしないよ。で、いつお嫁にきてくれるの?」
「……オレが嫁か」
「別に僕がお嫁さんでもいいけど。ウエディングドレス、着ようか?」
「着てくれんのか」
「その後で犯させてくれるなら」


**


花嫁に押し倒される花婿。






「恋人からプレゼントされたいもの」


 TOV:カロルとレイヴンの場合


「んーそうね、おっさんはあれね、もっと甘くてらぶらぶな時間かしらねー」
「えっ!?」
「何よ、何で驚くの」
「や、レイヴン、そういうの嫌いかなーとか、ちょっと思ってた、から……」
「嫌いじゃないわよ? かわいーコイビトが甘えてきてくれたらでれでれしちゃう、普通の男ですよ?」
「あま、えるとか、どういう風に……?」
「もっとひっついてもらいたいしー、手とか繋ぎたいしー、ちゅーだってしたいしー」
「ねぇ、レイヴン。ボクに合わせてわざわざそういうこと、言わなくていいからね?」
「……俺はね、そうやって少年が、無駄に我慢してるのが一番嫌」
「う……」
「次、今みたいなこと言ったら本気で怒るからね?」
「……ん」


**


どうした、おっさん。






「おにぎりを作ってください」


 ユーリとフレンの場合


「とりあえず、お前は余計なものに手を触れるな」
「……いきなりなご挨拶だね、ユーリ」
「いいから。調味料には触るなよ。塩は手に一振り!」
「分かってるってば。ほら、ご飯かして」
「ん。オレはどの具で作るかなぁ。お、牛肉見っけ。味噌ねぇの?」
「…………」
「フライパンは、っと。ついでにチャーハン作ってみるか。チャーハン、握れっかな」
「………………」
「焼きおにぎりとかもいけそうだな。醤油と……」
「……………………」
「………………」
「……………………」
「うしっ、こんなもんかな………………で、フレン、お前、何作ったんだ、それ」
「おにぎり」
「形はな。何入れたら白飯がこの色になるんだ」
「……ユーリへの愛情……」
「お前の愛情はこんなどす黒いのか」
「だって、ユーリひとりで楽しそうだったし……」


**


奥さんが料理に夢中になって構ってもらえない旦那拗ねる、の図。






「おにぎりを作ってください」


 カロルとレイヴンの場合


「いいよ、おにぎり得意!」
「少年、手先器用だもんね。おっさんは普通のしか作れないわよ?」
「普通じゃないの作られても困るよ」
「ははっ、それもそうね。じゃ、作っちゃおうか」
「おっけー。ちょっと待っててね!」
「………………で、ちょっと待った結果出てきたクオリティに驚いてるわけですが」
「あれ、可愛くない? これがユーリね。こっちがレイヴンでこれボク!」
「うん、すごいよく似てる。フレンちゃんとパティちゃんの髪の毛は卵?」
「そうだよ」
「なんつか、ごめんね、おっさん、こんなのしかできなくて」
「なんで? おいしいよ、このおにぎり。ボクが食べやすいようにちょっと小さめで作ってくれたんでしょ?」
「まあそうだけど……」
「ね、レイヴンも食べて?」
「……どれから食べたらいいのか悩むわね、これ。ねえ、フレンちゃんのおにぎり、変な味、しないわよね?」
「あははは、しないしない! 具は全部普通の使ったし。迷うならボクから食べてよ。髪の毛は佃煮だし、レイヴンの好きな味だと思うよ?」
「…………分かった、じゃおすすめいただいたことですし、少年をいただきます」
「へ? え? あれ、ちょっと待って、レイヴン、ボクってそのボクじゃなくておにぎりの……!」


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カロル先生、そのおにぎり、モニタのこちら側にも配達をよろしく。




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2012.01.14
















奥さんの前だと子供っぽくなっちゃう旦那さま。