「互いに相手を褒め倒してください」


 ボーカロイドたちの場合


「ミクね、ミクね! カイトおにいちゃんのこと、大好き!」
「ありがとう。おれもミクのこと好きだよ」
「……あー、二人とも、一応これ、『褒め倒す』のが目的だから」
「だめだよ、メイコ姉さん。二人とも聞いてない……」
「いいなー! あたしもいれて! あたしもミクねーちゃんとカイトにーちゃん、大好き!」
「……なんていうか、この天真爛漫さっていうの? 素直さはそれぞれすごいと思うけどね。私にはないものだし」
「メイコ姉さんの場合は大人の魅力でそれをカバーできるんじゃない? みんながみんなこんな風だったら収集つかないし」
「レンはリンと双子の割に大人びてるわよね。この年のころなら普通は女の子の方がしっかりしてるんだけど」
「カイト兄さんやミク姉さん見てると心配で、はっちゃけられないよ」
「……苦労掛けるわね」
「メイコ姉さんもね」
「なんだかそこの二人だけ暗いっ! ミクはメイコおねえちゃんもレンくんも好きだからねっ!」
「あ、あたしもあたしも! レンは置いとくけどメイコねーちゃん大好き! 柔らかいし!」
「柔らかいって、リン……」
「何よ、レン! あ、あんたえっちぃ想像したでしょっ! このむっつりっ!」
「想像させるような言葉いったのはリンだろうが」
「否定はしないのね、レン」
「……いや、だって、ねぇ。ほらミク姉さんとリンがこれだし。ねぇ、兄さん?」
「なんでおれに振るの……」
「だって唯一の男兄弟だし」
「カイトおにいちゃんはツルペタ嫌い!?」
「えっ! 貧乳は駄目なの!?」
「い、いや、だめってわけじゃ……! ミクもリンもすごく可愛いよ?」
「あら、じゃあカイトは私は嫌い?」
「え? ちょ、ちょっと、メイコ?」
「ほらほら、こういう体は嫌い?」
「え? わ、わ、っ、め、めーちゃんっ!」
「…………一番の苦労人ってカイト兄さんだよなぁ」


**


こっちも性格模索中。






「もし願い事が一つだけ叶うとしたら何を願いますか?」


 メイコ、ミク、リンの場合


「ミクはね、お家の裏に畑が欲しいなッ!」
「どうせネギを植えるんでしょ」
「そう! そうしたらいつでもネギ食べ放題!」
「でもミク姉ちゃん、畑の世話、しなきゃいけないんだよ?」
「大丈夫、ネギって放っておいても育つから!」
「ああ、まあ冷蔵庫の中でさえ伸びてたりするからね」
「すごいよね、ネギ! ミクもネギみたいになりたいな」
「そこまでいくと感心するよね、姉ちゃんのネギ好きも。そうするとメイコ姉ちゃんはお家に酒ぐら? 痛ッ! 何で殴るの!」
「失礼なこと言うからでしょ。せめて自販機でいいわよ」
「やっぱりお酒に関することじゃん」
「あはは、メイコお姉ちゃん、自分で作りたくはないんだね」
「リン、あんたは? 願い事」
「うーん、あたしは別に……今で充分幸せだし。歌は上手くなりたいけど、それって願うことじゃない気がするし。あ、今よりもっと家族が仲良くなれますように!」
「ふふ、いいわね、その願い。じゃあメイコお姉さんが叶うお手伝いしてあげる。今日はお鍋にしましょ」
「お鍋! ネギ!」
「やった!」


**


お鍋大好き。






「もし願い事が一つだけ叶うとしたら何を願いますか?」


 カイトとレンの場合


「これはもう、アイスしかないでしょう!」
「……兄さん、ミク姉さんとレベルが一緒だよ」
「ミクと? それは嬉しいなぁ」
「いや、褒めてない褒めてない。子供っぽ過ぎるって言ってるの」
「えー、じゃあそういうレンは? 願い事一つ叶うとしたら何を願う?」
「うーんそうだなぁ、大宝玉が欲しい、だな」
「モンハン?」
「そう。あれ、ぜってー物欲センサーが働いてるって。こんだけやって出ないのはおかしい」
「でもだって、攻略本見せてもらったけどあれ、ものすごく確率低かったよ?」
「ゼロじゃないんだから出るはずなんだって!」
「それはそうだけどさ。……レンだって、人のこと馬鹿に出来ないくらい子供っぽい願いだって分かってる?」
「分かってて言ってるの。だって兄さん相手に色っぽい願いを言っても理解してくれなさそうだから」
「……それはおれを馬鹿にしてるってことは分かるよ」


**


レンのああしたいこうしたい、は八割がエロネタ、とかだったら嫌だ。






「お風呂に入る時に、どこから洗いますか?」


 メイコ、ミク、リンの場合


「ミクは髪の毛! それが終わったら足から洗うよ」
「あたしは顔かな」
「そうね、私は胸ね」
「胸……ミクもメイコお姉ちゃんくらい胸、欲しいなぁ」
「それって頑張れば何とかなったりするの?」
「どうかしらね。私は体を洗う時に一緒にマッサージはしてるけど」
「え、ほんと? ね、ミクにも教えて!」
「ねーちゃん、ねーちゃん、あたしにも!」
「リンにはまだ早いんじゃないかしらね。まあ、いいけど。まずね、胸の真ん中をこう、さするのね」
「うん」
「で、これが終わったら、胸を下から上に持ち上げるようにさするの」
「……持ち、上げる……」
「ねーちゃぁん、持ち上げるほど胸、ないよぅ」


**


あとでメイコねーさんは、他のバストアップマッサージをぐぐって調べたんだとか。






「お風呂に入る時に、どこから洗いますか?」


 カイトとレンの場合


「俺は腕。右腕かな、多分。兄さんは?」
「…………歯?」
「兄さん、それってお風呂で洗うもの?」
「や、お風呂に入る前に洗うけど、一応、一番初めって言えば歯かなって」
「カイト兄さんってすごいいっぱい歯磨きしてる気がするけど、何で? やっぱり虫歯対策?」
「うん、前に一回めーちゃんに虫歯の画像見せられて。あれ以来怖くてちゃんと歯は磨こうって」
「アイス食べるのは止められないから?」
「そう」
「兄さん、言っとくけど、歯の磨き過ぎも良くないんだよ?」
「えっ!?」
「下手な磨き方だと歯茎がすり減っちゃったりするの」
「えぇっ!?」
「そのまま歯が支えられなくなってぼろぼろ抜けて、将来総入れ歯、とかになっちゃったりして」
「えぇええっ!!? ど、どうしよう! 総入れ歯、ヤダッ!」
「…………虫歯画像見せたメイコ姉さんの気持ちがものすごくよく分かるなぁ」


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このあと洗面所の前で歯ブラシを持ったまま佇んでいたのを、ミクに保護されたそうです。




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2009.05.05





















おバカな兄さん。