「折角髪の毛を切ったのに、誰も気づいてくれません。どうアピールしますか?」


 カイトとレンの場合


「うーん、とりあえず押し倒して、『何が変わったか分かる?』って聞く。答えられなかったらそのままお仕置き」
「……レン、それ、冗談だよね?」
「半分くらいは」
「半分は本気なんだ……」
「兄さんは? って、ああいいや、聞かなくても分かる」
「え?」
「だってこないだ、髪の毛弄ってもじもじしてたじゃん」
「っ、もじもじなんてしてないよ!」
「俺が『髪の毛ちょっと切ったんだね』って言ったら、嬉しそうに『分かる?』って。あまりの可愛さにどうしてやろうかと思った」
「ぅー……だってさぁ……折角切ったのにさ……」
「まあ、気づいてもらえないと寂しいよね」
「……うん」
「でも大丈夫、兄さんが髪切ったら絶対俺は気づくから」
「……絶対?」
「うん、絶対。だからね、兄さんも俺が髪切ったら気づいてね」


**


鈍感な兄さんですが、意外とそういうことにはちゃんと気づけそう。






「白ご飯に牛乳。あり派? なし派?」


 カイトとレンの場合


「俺はあんまり、好きじゃないかなぁ。牛乳飲むならパン食べたい」
「おれは気にならないけどな、あの組み合わせでも」
「そうかなぁ、牛乳ってなんかすごい味、残るじゃん。単品だったら平気なんだけど、あれと白いご飯はなんか、違う」
「ご飯を牛乳で炊く料理、ってあるよね」
「げ、マジで? 俺、そんなの食べたことないけど」
「どこだったけな、ハンガリーとか、そのあたりの家庭料理じゃなかったかな」
「へぇ」
「だから合わないわけじゃないと思うんだけどね」
「どんな味なのか想像できない……」
「今度めーちゃんに作ってもらう? レシピさえあれば作ってくれると思うよ」
「うー、メイコ姉さんが作ったら全部美味しくなっちゃうからなぁ」
「美味しかったら駄目なの?」
「駄目じゃないけど、だって米と牛乳じゃん。そこはなんか、違うって言っときたいじゃん」
「あはは、レンって変なところで変にこだわるよね」
「変でも何でもいいけど、米と牛乳は違うと思うー」


**


どちらかと言うとデザートっぽいらしいです、牛乳ご飯。






「利き手はどちらですか?」


 カイトとレンの場合


「おれ右。レンもだよね」
「うん、ていうか俺らはそうプログラムされてるところ、あるよね」
「ああ、そうだね。生活知識とか技能とかはそれぞれ培ってきたものだけど、基本設定がそうなってるもんね」
「そこ弄ったら左利きとかにできるかな」
「うーん、どうだろう。できるんじゃないかな。レン、左利きになりたいの?」
「いや、なんか、カッコ良くない? 左利きって」
「そうかなぁ。どっちでも同じだと思うけど」
「あれ? 兄さんは左利きの人、嫌い?」
「あ、いや、嫌いとか駄目とかじゃなくて」
「うん?」
「……折角同じ右利きなのになぁって……」
「…………兄さんって、ほんと可愛いこと言うよね」


**


それがことごとくレンのツボにハマってるそうです。






「好きな人のどんな仕草にドキっとくる?」


 カイトとレンの場合


「寝てるとき、無意識できゅって枕を抱きしめる仕草」
「……おれ、そんなこと、してる?」
「してるしてる。超してる。なんてかな、何でこのひと、こんなに可愛いんだろう、ってもんもんとなる。ときたま抑えきれなくてキスしちゃうけど」
「ああ、だから、目が覚めたらレンの顔が目の前にあることが多いんだ」
「そういうこと。それが嫌なら枕、抱きしめないでね」
「……無理だよ、そんなの」
「それは無意識だから無理だよっていう意味? それとも嫌じゃないっていう意味で無理?」
「…………おれがドキってくる仕草はね、」
「あ、話反らした」
「えーっとね、えっと……」
「兄さん、話反らすならちゃんと続きを考えてからにしようよ」
「でも、だって、そんなこと言われても……」
「いいよ、ちゃんと待つから。じっくり考えて?」
「あ、それ」
「は? どれ?」
「その、ちょっと首傾げる仕草。それ」
「……こんなのが?」
「うん、普段ね、レンはすごく大人っぽくて、おれなんかよりずっとしっかりしてるでしょう? ときどき子供っぽく見えるけどそれってたぶん、そう見えるようにしてるだけじゃない?」
「ああ、まあそういうとこもあったりするけど」
「でも、そうやってちょっと首傾げるの、やっぱり大人っぽいんだけど、でもちゃんと子供っぽくも見えて、ああレンだなって思えてドキってする」
「兄さんの言うことは難しくてよく分からないけど、でも兄さんにドキってしてもらえてるのはすごく嬉しいな」


**


子供とか大人とかじゃなくて、レンなのだ、と思うのだそうです。






「泳げますか」


 カイトとレンの場合


「…………おれ、たぶん泳げない」
「あ、俺もたぶん泳げない。っていうか、泳いだことがない」
「だよね。プールとか海とか、行った事ないし」
「泳ぎ方は知識として知ってはいるけど」
「実際にやってみないとどうかは分からないよね。今度皆で一緒にプールにでも行こうか」
「あー、うん……」
「レン、嫌だ?」
「いやって言うか……プールって、ほら水着、じゃん?」
「まあ服のままではたぶん入らないと思うけど」
「水着ってことは肌を見せるわけじゃん」
「そう、だね。……? 恥ずかしいの?」
「俺は別に全然なんともないんだけど、リンはともかく姉さんたちはスタイルいいし、可愛いから変な目で見てくる男が多そうだなーって。なんかムカツク」
「あー……それは、分かるかも。嫌だね、なんかそういうの。じゃあおれら二人だけで行く?」
「……兄さんを変な目で見られるのもヤダ」
「おれ、男だけど」
「男でも! 見てくるのはいるかもしんないじゃん!」
「いないと思うけどなぁ……」


**


心配症レンレン。




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2011.03.07





















兄弟のほのぼのした会話もいいですね。