「おにぎりを作ってください」


 カイトとレンの場合


「いいけど、レン、具は何にする?」
「中に入れるより混ぜご飯的なおにぎりの方がいいな、俺」
「分かった、じゃあゆかりご飯でも作ろうか」
「兄さんのは普通に中に具を入れていいの?」
「うん。あ、梅干し入れるなら種、どけてね」
「オッケー」
「……でも、なんで急におにぎり?」
「さあ。俺に聞かれても」
「おにぎりじゃなくてアイスの方がいいと思うんだけど」
「アイスは握れないでしょ」
「握らなくても! 食べるならアイスクリームの方がみんな幸せになれると思う」
「……兄さん、前から言おうと思ってたんだけど、世の中にはアイスクリームが嫌いなひととかもいるからね?」
「えっ!? 嘘、いるの、そんなひとっ!?」
「…………ミク姉さんといいカイト兄さんといい、自分の食べ物の価値観が万人に共通してるって思い込むの、うちの兄弟の悪い癖だよなぁ」


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僕のアイスを嫌いなひとがいるわけがない。






「脱いでください」


 カイトとレンの場合


「えぇっ!? や、やだよ、脱がないよ!」
「何が目的の質問なんだろうね、これ」
「そもそも質問ですらないよ。レンも脱がなくていいからね!」
「や、脱ぐ気、もともとないから。なんだろう、どんな下着を愛用してますか、とかならまだ分からなくもないけど」
「そっ、それだって十分変だよ! なんでそんなこと教えなきゃいけないの」
「まあ、俺は今さら兄さんのパンツがどんなのか、教えてもらう必要ないけどさ」
「そりゃ、家族、だし……」
「……それだけ?」
「へ?」
「だから、家族ってだけ?」
「あ、いや、えと……」
「カイト兄さん?」
「……こ、こいびと、だし?」
「良くできました」


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恋人であってもパンツの趣味までは知らないんじゃ……






「お気に入りの場所を教えてください」


 カイトとレンの場合


「お気に入りの場所、ね」
「これ、あれだよね、きっとおれとレン、同じ場所だよね」
「うん、だと思う。せーので言おうか」
「いいよ。じゃあ、せーの」
「うちのリビング」
「テレビの部屋!」
「……カイト兄さん、テレビの部屋って……」
「あ、ああ! そっか、リビング! そうリビング!」
「いやまあ通じるけどね。でも実際家にいるときって、大体みんなあの部屋にいるよね」
「ね。自分の部屋もあるけどほとんど寝るだけだし」
「別に話をずっとしてるわけじゃないんだけどね。本読んだりゲームしたり音楽聴いたり、みんな別々のことしてる」
「でも同じとこにいると安心するんだよね」


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仲良し一家が好きです。






「空からパンツが降ってきました」


 カイトとレンの場合


「見回して出所を探るけど、たぶんスルー」
「あー……まあ拾ってあげにくいよね、パンツだと……」
「それが何か気が付かずに普通に拾って、パンツだって気が付いて真っ赤になって固まるカイト兄さんの姿がありありと目に浮かぶ」
「う……い、いくらおれでも、パンツくらいは見たら分かる、と思う……」
「そりゃ広がって落ちてたらね。でもほら、飛んできてるんだし、丸まってたら分からないんじゃない?」
「ま、まあ、そうかも、だけど……」
「あと布の面積が極端に少ないやつとか、しばらく弄ってこれ何? って聞いてきそう」
「だから、たぶん分かるってば」
「ホントに? 最近こういうパンツもあるんだよ?」
「……なにこれ」
「これが前で、こんな風にはくやつ。すごいよね、全然隠れてない」
「……女の人用?」
「いや、男用」
「…………で、どうしてレンはこんなもの、持ってる、のかな?」
「そんなの、決まってるじゃない。ねぇ?」


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アマゾンでぽちっと。






「最中に言われて一番ぐっときた言葉」


 カイトとレンの場合


「そっ、そんな、の、答えられないよっ」
「うん、兄さんはそういうと思ってた。いいよ、俺が答えとく。俺は『やだやだ』言ってるのが好き」
「…………えっと、それは、おれが、ってこと?」
「当たり前、兄さん以外とはしないから」
「う……おれ、やだやだ言ってる?」
「ときどきね。なんか恥かしいのとか気持ちいいのとかが限界こすと子供みたいになる」
「うぇー……わ、忘れてくれるかな、それ」
「絶対いや。できれば動画とって永久保存したいくらいなのに」
「えっえいきゅう、ほぞん……っ」
「うん。見てひとりで楽しむの」
「――ッ、そ、そんなの、やだ……っ」
「何で? 恥かしいから?」
「だって、本物のおれ、いるのに……」
「――――ッ、ああもう、カイト兄さん、可愛すぎる!」


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本物に存分に『やだやだ』言ってもらう約束を取り付けた。




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2014.06.03





















小ネタだけだとこのふたりしか書けないけど、
他の兄弟も書きたいなとはちょっと思う。