HLにおける気球を用いた大気浄化システムの試験運用について

BBB スティレオ 76P R-18 文章のみ 300yen
ふざすばシリーズ。
ザップさん空を飛ぶの巻き。
以下本文1000字抜粋。









 爆弾を抱えたピエロたちはいったい何ものなのか。そういう異界存在、異界生物なのか、それとも誰かが何らかの目的を持って送り込んできているのか。そもそもいつ、どのように、どこから現れているのか。
 最初に目撃されてからかれこれ一ヶ月近く経っているが、いまだピエロについて解明されていることは少なく、謎ばかり増えていく状況だ。現れるピエロたちも、どこかを目指している、何かを狙っている様子はなく、ただ街を練り歩くのみ。一、二度の出現ならばはた迷惑な個人か団体かがいたずらで作りだしたのだろう、とスルーもできたが、こう何度も繰り返されてはさすがに放置もできない。何か原因がある、あるいは黒幕がいるのなら、対処すべきは現れるピエロパレードではなくそちらのほうだ。害虫駆除は巣ごと行うのが基本である。
 大小様々な厄介事が日々あちこちから湧いて出てくる場所だ。秘密結社ライブラは、所属する構成員たちをうまく割り振っていくつかのネタを同時に調査、解決への努力をしているわけだが、ピエロパレードもそのなかの一つとして鋭意調査中のものであった。
「『木を隠すなら森の中』とはいってもな、さすがにないとは思うんだが」
 ライブラ執務室にて副官に呼ばれた若者トリオは、揃って手渡された資料へと視線を落とす。どうやらHLにて活動をしているサーカス団、それを有する企業についてまとめてあるものらしい。
「確かに、サーカステントの周辺なら、ピエロがいても不思議ではないでしょうけど」
 苦笑を浮かべた上司の言いたいことを把握した半魚青年が、同じく苦笑交じりの声でそう口にした。
「僕が爆破テロするなら、自分とはできるだけ関係のないモチーフを選びますけどね」
 少なくとも、サーカスに所属している状態で、ピエロという目立つアイコンを使うことはないだろう。レオナルドの言葉に、「僕もそうするね」と副官は肩を竦めて答えた。だからこそ、「ないと思う」と彼は言うのだ。
 しかしそれでも現状、ピエロパレードについて得られている情報が少なく、何を調べればいいのか、から考えなければならない状況なのである。
「まあ幸い、調査対象は多くない。無関係であることを確認しにいく、くらいに考えてくれ」
 選択肢を潰していくのも調査においては重要なことである。できることをこなしたうえで何か新しい道が見えれば良し、見えなければまたそのとき改めて次の手を考えればいい。
「サーカスといっても、この街で興行している団体だってことを忘れないように。誰がどこに行くかはとくに指定しないが、それなりに覚悟はして行けよ」





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