The die is cast! Vol.31

青エク 雪燐 68P R-18 文章のみ 300yen
収録「恋人以上兄弟未満」
未来パラレル。弟離れをしようと努力する燐兄さんの話。
以下本文1000字抜粋。






 双子の兄弟といえど、別個の存在である。別々に、離れて生きるという生き方もあるのだ、と。十年弱かけて、燐は今、その事実をひしひしと理解し始めていた。
 俺も弟離れしなきゃいけないみたいだし、と小さく呟けば、ちらりと振り返った神木に視線だけで、どういうこと? と尋ねられる。
 頻繁ではないが、雪男とはときどき食事をする、ということは彼女にも話してあった。彼からは連絡がないこと、『兄さん』と呼んでもらえなくなったことも神木は知っている。そもそも燐はあまり隠し事のできるタイプではない。嬉しいこと、悲しいことがあれば、どうしたって親しいひとに話をしたくなってしまう。
 何か決定的なことがあったわけではないのだ。ただそう、弟と離れて生活をする時間が積もってきたがゆえに、目を背けることができなくなってきた、というだけのこと。先日は『弟離れは追々に』だなどと答えたけれども、本当は早急にでもすべきなのだろう、と。
 雪男は燐がおらずともひとりで生きていくことができる。どれほどの痛みがあろうと、そろそろそれを認めなければ、理解しなければならないのだ。
「具体的にはどうやって?」
 その弟離れの方法を神木に尋ねられ、うぅん、と悩んだ燐は、「雪男んち行っても洗濯しない、とか?」と思いついたことを口にした。じっとりと、上司の視線がなんだか険しくなった気がする。
「え、えっとじゃあ、もう風呂掃除しない! 風呂も入れてやらない!」
「………………」
 沈黙と視線が痛い。びしびしと突き刺さってくる。無言の圧に、背中で揺れていた尻尾もしょん、としょげて、左足にちからなく巻き付いてしまった。それだけでは足りない、と彼女は言いたいのかもしれない。
「もう、飯、作りに、いかない、とか……」
 しぶしぶとそう口にすれば、はぁ、とため息をつかれてしまった。額を抑えてふるふると首を横に振る仕種付き。盛大に呆れられている、ということは分かる。
「だって、それ以上、俺、どーしたらいーか……」
 そのほかに弟離れをするために実行できることなど、燐には思いつかない。唇を尖らせて呟けば、「あんたがそれでいいと思うなら、そうしたら?」と突き放されてしまった。冷たい。雪男も冷たいけれど、神木も冷たい。ひでぇ、と友人を見やるも、「実の妹に忘れられた私にまだその話、する?」と笑顔を向けられ、言葉を収めざるを得なかった。
「……ごめん」
「いーわよ別に。でもそれ思うと、あんたはま





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