「あなたの好きなものを教えてください」


エイトの場合

「…………ないな、特に」
「ほんとに? 何もないのか?」
「エイト、王さまとかお姫さまは好きじゃないの?」
「うーん、『好き』なのかな。どういうのが『好き』っていうのかよく分からん」
「じゃあエイト、お前、食えないものとかないの?」
「兄貴は結構何でも食うでがすよね」
「そうよね、エイト、好き嫌いしないもんね、あんまり」
「あー、一つだけある」
「何?」
「チーズ」
「……そうなの?」
「うん、食えないっていうか、食べようとするといつもトーポがもの欲しそうな目で見てくるのね。したらあげちゃうじゃん。あげたら俺食えないじゃん。だから」
「……今まで一度もチーズ、食ったことないって?」
「兄貴……」
「エイト、しばらくトーポをそのバカリスマに預けときなさい。チーズ料理、食べさせてあげるから」






ヤンガスの場合

「兄貴ッ!」
「あー、はいはい。ヤンガスはほんとにエイトが好きね」
「アッシは兄貴のためだったら何でもするでがす!」
「それほんと?」
「もちろんでがす」
「……あー、ヤンガスさん、あんまりこいつの言うこと聞かないほうが……っていっても無駄か」
「どんなことでも聞いてくれる?」
「男に二言はないでがす!」
「じゃあ、今度から『熊さん』って呼んで良い?」
「……へ?」
「で、できれば森の中でイヤリングを拾ってきてもらいたいんだけど?」
「……えと、いや、あの、兄貴?」
「ああ、あれでも良いよ、ほら、黄色い熊みたいにTシャツだけ着て、下半身は露出して、蜂蜜の壺に手を突っ込んで食うの」
「……エイト、それは犯罪だわ。ってか公害だわ」
「ヤンガス、ほんとにこいつについてっても大丈夫か?」
「………………」






ゼシカの場合

「うーん、私はお菓子かな。甘いもの、好きよ」
「お。女の子らしい答えだね」
「女の子ですから」
「お菓子の中ではどんなのが好き?」
「やっぱりチョコレート系かな。ポッキーとか」
「ポッキーか。やっぱりポッキーとくれば、ポッキーゲームだよな」
「あんたの頭はそういうことしか考えられないんでがすか?」
「自慢じゃないけどほぼそういうことだけだね」
「ほんとに自慢にならねぇよ。で、ポッキーゲームって何?」
「え、エイト知らねぇの? よし、じゃ、オレさまが実地で教えてやろう!」
「断る」
「……即拒否かよ」
「ポッキーゲームっていうのはね、こう、二人でポッキーの両端を咥えて食べていくゲームよ。唇が付く寸前に止めて、どれだけ短く食べれるかってのが一般的なルールだけど」
「オレ、残したことないよ? 全部食うもん」
「そりゃ、あんたはそうでしょうよ」
「へぇ、面白そう。一度にどれだけのポッキーが入るかってゲームならしたことあるけど、それは初めて聞いた」
「むしろアッシはそういうゲームを今初めて聞いたでがすよ」
「あれな、結構辛いんだよ。城にいたとき仲間と一緒にやってたんだけどさ。ポッキーって水分ないじゃん? 口の中ぱさぱさになんの。もう無理だってんのに『まだいける』とか言われてね。もう皆半泣き」
「……色気ないな、こいつの話は」






ククールの場合

「女」
「きっぱり言うね、ククール」
「やっぱりあんたサイテー」
「女って、どんな女でもいいんでがすか?」
「ノンノン、やっぱりこう、唇が厚くて、目が大きい、エロ臭い女がいい」
「全然色のない、清楚な美人は?」
「あー、それもいいねぇ。脱いだらすごいんです系?」
「この手で乱してやりたい」
「そうそう」
「新しい君を一緒に見つけよう」
「そうそう」
「俺色に染めてあげる」
「そうそ…………エイト、オレちょっとそこまでは」
「うえ? マジで? っかしいな、これくらいは言うと思ったんだけど」
「お前はオレを一体どんな目で」
「なんだか、会話がどんどん変態臭くなってるわね」
「アッシにはついていけないでがす」
「あら、ヤンガスはいいのよ。清らかな交際を続けて頂戴。向こうも満更じゃないみたいだし」
「む、向こうって、ゼシカ……?」
「うふふ、隠さなくってもいいのよ? こないだゲルダのとこに遊びに行った時に聞いたもんね」
「!」
「あんたも隅に置けないわねぇ。あのボンクラスケベコンビとは大違いだわ」
「どうもー、ボンクラでーす」
「スケベでーす」
「二人合わせて」
「ボンクラスケベコンビでーす……って、ゼシカ姉さん、止めてください」
「やあよ。勝手になさい」






トロデ王とミーティア姫の場合

「わしか? わしはそうじゃのう。酒かの。旅をしておるから各地の良い酒が飲めるのが嬉しいの。まあこの体じゃから、そうそう酒場へ行くこともできぬが」
「あー、だからエイトは新しい町に着くと真っ先に酒場へ行くのか」
「そうよ、気付いてなかったの?」
「ククールは酒場イコール女ってことしか考えられないんでがすよ」
「申し訳ありません、王。自分が不甲斐ないばかりに王にそのような苦労をかけてしまって。せめてお好きなものくらいは取り揃えますので、何なりとお申し付けください」
「すまぬの、エイトよ」
「……エイトのあの態度の変わりようはある種詐欺だとオレは思うね」
「芸達者って言ってあげなさいよ」
「ゼシカ、そっちの方がひどいでがすよ」
「姫は何かお好きなものがございますか?」
「ヒヒーン」
「ええ」
「ヒヒン、ヒヒヒーンッ!」
「そうですか、では今度からはそちらに致します」
「……会話、できてんのかしら」
「分からん。エイトだからやりかねん」
「さすが兄貴!」




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2005.07.24








拍手お礼小ネタ第一弾。古い。懐かしい。