「正直に答えてください」


エイトの場合

「貴方が林の中を歩いていると一軒の家があります。
 家の周りにある塀はどれくらいの高さですか?」


「林の中の家だろ? 塀なんかないよ。あっても垣根みたいなの」
「あー、侘び寂びって感じ?」
「そう、世捨て人が住んでそうな感じ」
「えーっと『塀の高さが貴方のプライドの高さです』ってよ、エイト」
「………………」
「……お前、プライドないのな」
「あっても垣根程度って……」
「だ、大丈夫でげすよ、兄貴! 兄貴にはプライドはなくても素晴らしい芸人根性があるでげす!」
「ヤンガス、フォローになってない」


**


芸人根性はおそらく誰にもこえられないほどの高さがあるだろう。






ヤンガスの場合

「その家の中に食卓があります。
 食卓にある椅子の数は何脚ですか?」


「そうでがすねぇ。八脚ぐらいでがしょうかね」
「八? そりゃまた随分と多いな」
「飯食う机はでかい方がいいでがす」
「『椅子の数は貴方の理想とする家族の人数を表しています』だってよ、ヤンガス」
「あらあら、八人? ゲルダ、六人も子供生むんだ。大変ね」
「ゼ、ゼシカ! どうしてそこでゲルダが!」
「いや? ゲルダだけが母親とは限らねぇぜ? 腹違いの子供が数人……」
「お前と一緒にすんな、スケコマシ」
「オレがそんなヘマするわけねぇじゃん」
「そういえばそうだよなー、最近お前、男相手にしてるもんなー。男なら孕ませることもないしなー」
「オレを真性ホモみたいに言うな」
「違うの?」
「もういいから、黙ってて頂戴、そこのバカ二人」


**


ゲルダの両親と同居すれば子供は四人で済む。






ゼシカの場合

「森の中で道に迷った貴方。偶然出会った知人に道を教えてもらえました。
 その知人は誰ですか?」


「そうね、ヤンガスかしら」
「なんで?」
「だって、森の中を歩いてそうなの、ヤンガスくらいじゃない? ククールはそもそもそんなところには行かないでしょうし、エイトには道を聞いても仕方ないわ」
「ゼシカ、それはちょっと俺に失礼じゃないか?」
「『助けてくれた知人は貴方にとって便利な人物を表しています』らしいでがすよ……って、アッシじゃないでがすか! ゼシカ、アッシのことそんな風に……」
「や、やだ、ちょっとヤンガス、落ち込まないでよ。便利って、考えてもみなさいよ。あんたがいなかったら私、このバカコンビの面倒一人で見なくちゃいけないのよ? 便利っていうより頼れる存在って感じじゃない?」
「ゼシカ、そうだったんでげすか……ありがとうでげす!」
「…………ヤンガスへのフォローは上手くいってるけど、オレらへはぐっさりと言葉の矢が突き刺さったままだよな」
「ふははは、この程度の矢で俺さまがやられると思ってか!」


**


エイト、お前は少し人の言葉を気にするべきだと思う。






ククールの場合

「しばらく歩くと橋に差し掛かりました。
 その向こうから知人(異性)が歩いてきます。それは誰ですか?」


「異性の知人って多すぎて一人に絞れない」
「サイッテー」
「じゃあ同性ならどうでげすか?」
「えー、んー、強いてあげるならエイトかな」
「俺?」
「お前神出鬼没っぽいから、思いも寄らないところで出会いそう」
「『橋の向こうから来た人は貴方の運命の人を表しています』。あら、じゃあククールの運命の人ってエイトなのね」
「………………」
「……………………」
「幸せにしてね?」
「おう、任せとけ」


**


ククール兄さん、少々ナゲヤリ気味。






トロデ王とミーティア姫の場合

「更に道を進むと、一人の乞食に出会いました。
 よく見るとそれはあなたの知っている人です。それは誰ですか?」


「乞食? 乞食が似合いそうな知り合いなどおらぬわい」
「そりゃそうだろうよ。腐っても王様だもんな。知り合いっつったら貴族とか、王族とかばっかりだろ」
「『その乞食は貴方が一番尊敬している人間です』ってよ、トロデ王」
「トロデのおっさん、誰も尊敬してねぇってことでげすか」
「ちょっとそれは人としてどうだろうなぁ。人を敬う心をなくしちゃ駄目だろ」
「ククール、何か言った?」
「さ、さぁ、次の質問行こうか。ほら、エイトくん、君の麗しき姫君が質問を待っていらっしゃるぞ? さっさとその剣、下ろせ? それ以上近づけたら、オレ、死ぬぞ?」


「しばらく行くと分かれ道に差し掛かりました。そこに数本の木が立っています。
 何本立っていますか?」


「そうですわね、数え切れないほど、かしら」
「森か林があるのですか?」
「ええ、きっとその道は森の中の小道なのですわ」
「えーっと、木の本数は……ちょっと、私、これ読み上げるの嫌なんだけど」
「どれ? あー、『木の本数は敵の数を表しています』だってさ、ミーティア姫」
「馬姫さま、数え切れないほど敵がいるってことでがすか?」
「あら! 当たっていますわ!」
「あ、当たっているのですか、姫殿下」
「ええ、だって諸外国の人間はすべて敵ですもの!」
「決めた、オレ、この旅が終わったらトロデーンに住む」
「そうね、敵に回したくない人、ナンバーワンですものね、ミーティア姫って」


**


周りはすべて敵と思え、の精神。




ブラウザバックでお戻りください。
2006.07.23








拍手お礼小ネタ第十弾。
心理テストネタ。