「戦闘中の仲間の行動で一番困るものは?」


エイトの場合

「俺の意にそぐわないものは全部」
「いや、待て待て。エイト、いっとくけどオレら、お前の命令に従って動いてるぞ?」
「そうよね、補助や回復の魔法は大抵エイトからの指示がでるもの」
「アッシは兄貴の言うことなら何でも聞きやすけど」
「や、そこはいいんだけど、そうじゃなくてさ、たとえば一切期待していなかったククールの攻撃が思いのほか効いちゃって、俺のターンになる前に敵が残り一匹になっちゃったときとか」
「……エイトくん、それはオレに喧嘩を売っていると解釈してもいいのかな?」
「でも兄貴、敵が減って、何かまずいことでもあるんでがすか?」
「あるに決ってるだろ、ヤンガス! 俺はザコ敵を一掃させようと、なぎ払いの構えだったんだぜ? たった一匹の敵相手になぎ払う、この虚しさ! あれほど悲しいことはない!」
「そう? 私は気にならないわね、たった一匹のバカ相手に全力でイオナズン放つのも、結構すっきりするもんよ?」


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たった一匹のバカ=エイト。






ヤンガスの場合

「そうでがすね、ゼシカのねえちゃんのお色気系は全般的に目のやり場に困るでげす」
「あー、投げキスとかな」
「ヒップアタックとかな」
「セクシービームとかな」
「ぱふぱふとかな」
「モンスターが羨ましいよな」
「よな」
「……………………」


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バカ二匹相手にイオナズン。






ゼシカの場合

「強いていえばヤンガスのおっさん呼びかしら」
「えっ!? アッシでがすか!?」
「あー、それはオレも同意。むっさいのが増えてもなぁ」
「あれだけたくさんのおじさんが向かってきたら、モンスタじゃなくても怖いわ」
「んー、俺も実はあの攻撃、好きじゃないんだけどさー」
「そんな! 兄貴まで……」
「どうしたの、エイト? いつもなら適当なこと言って『おっさん呼び禁止』とか言い出しそうなのに」
「そうしてくれるとオレたちも助かるけど」
「そうしたいのは山々なんだけど……」
「歯切れが悪いわね」
「いや、前、陛下がおっさん呼びのために鏡の前でポーズの練習をしてるの見かけちゃってさ。楽しみにしてらっしゃるようだし、陛下が戦闘に参加できるのってあれくらいしかないから、それを禁止するわけにもなぁって」


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隠れたところで自分を磨く努力を。






ククールの場合

「エイトがつられて踊ってるとき。困るっつーか、ムカツク。目の前の敵を放り出して、奴へジゴスパーク放ちたくなるくらいにムカツク」
「なんだよ、一人だけ踊って悪いから俺はみんなにサービスするつもりで」
「サービス……あのめちゃくちゃな踊りと掛け声はサービスだったのね」
「さ、さすが兄貴。優しい心遣いでげす」
「エイト、オレたちのことを思ってくれるなら、今後一切ものすごい笑顔を振り撒きながらノリノリでつられて踊るのはやめてくれ」
「えー?」
「鈴を持ったまま敵を待ち構えるのもなしな」
「つまんねー。じゃあ、ノリノリで踊るのと無表情のまま黙々と踊るのとどっちがいい?」
「……また極端な選択ね」
「究極の選択でがす」


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で、結局無表情を選択した仲間たち。






トロデ王とミーティア姫の場合

「わしは特にないのぅ。そもそも戦闘には参加してないからの、贅沢なことは言えぬ」
「さすが、陛下、素晴らしいおこ」
「ミーティアはありますわ」
「姫、話を振られるまで我慢できなかったのね」
「ミーティアは、困ることがありますの」
「はいはい、分かった分かった。ちゃんと聞くから。ミーティア姫の困っている仲間の行動って何ですか?」
「……なんだか、最近、ククールの馬姫さまへの扱いが、エイトの兄貴への扱いと似てきた気がするでげす」
「ミーティアは、戦闘が長引くことが一番困りますの」
「あら意外。まともな答えだわ」
「長引けば長引くだけ皆さんへの負担も大きくなりますし」
「姫殿下……勿体ないお言葉……」
「何より、モンスタがミーティアのところへ来る可能性が大きくなってしまいますもの」
「ああ、そういうオチね」
「ミーティアが魔物に攻撃されてしまうようなこと、あってはならないことだと思いませんか?」
「……仰るとおりです、姫殿下」
「以後気を付けるわ」
「全力で魔物を倒すでげす」
「ミーティア姫に殺される前に」


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トロデ王はもっとわがままだと思いますが、ミーティアがいるのでとてもよい人になってます。




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2006.08.31








拍手お礼小ネタ第十一弾。