「みんなでカレンダーを作成、何月でどんな写真のモデルになりたいですか?」


エイトの場合

「五月!」
「五月? 端午の節句?」
「兄貴、兜でも被るんでげすか?」
「いや、待て、エイトがそんなありきた」
「こいのぼり!」
「は?」
「顔のとこくりぬいて、こいのぼりやる!」
「……ほらな」
「それか十二月!」
「十二月? クリスマス?」
「うん、ツリーやる!」
「顔のところくりぬいて?」
「そう!」
「……兄貴、どうして人間じゃないものばかりやりたがるんですか」
「私、ちょっとエイトが可哀想になってきた」


**


ちょっとどころではなく、だいぶ可哀想な子なんです。
そっとしておいてあげてください。






ヤンガスの場合

「アッシがモデルになっても仕方ねぇと思うんでげすが」
「…………顔、アップで撮らなければ大丈夫じゃない?」
「兄貴、何気に酷いことを言いやすよね」
「ヤンガスさぁ、十二月とかいいんじゃね?」
「あら、どうして、ククール?」
「十二月っていえば当然サンタクロースだろ? サンタって恰幅が良い爺さんが多いし、白い髭とかで隠せば凶悪な面も大丈夫だろ?」
「ああ、サンタクロースね。うん、ヤンガスに似合うかもしれないわね。あんた、優しいし、意外に子供好きでしょ?」
「え? あ、ええ、子供は嫌いじゃねぇでげすが……」
「俺もヤンガスはサンタクロースが良いと思う! 絶対似合うって」
「兄貴」
「それに夜、煙突から忍び込むなんて、ヤンガス得意だろ?」
「……ヤンガス、一つ言っとくけどサンタの仕事は子供にプレゼントを配ることだからね」
「大丈夫でげすよ、ゼシカのねーちゃん。それくらい知ってるでがす、エイトの兄貴じゃあるまいし」


**


最近のヤンガスさんはエイトの扱いがちょっとずつ分かってきた模様。






ゼシカの場合

「やっぱり三月でお雛様ね。十二単っていうの? 着てみたい」
「却下。ゼシカは八月担当って決ってんの」
「ちょっと、エイト、なんでよ?」
「うわ、ククールにーさん、あの子、『なんでよ』とか言っちゃってますよ?」
「ああ、けしからんな。自分の価値にまったく気付いてないなんて」
「ゼシカはうちの紅一点なんだぜ?」
「しかもそのナイスバディ」
「十二単で隠しちゃまずいってもんだろ?」
「……つまりあんたたちは、私に水着着てモデルになれ、と?」
「イエース!」
「ザッツライト!」
「…………着崩れた十二単でチラリズム、とかもいいかなーとか思ったんだけど、そう残念だわ」
「うお! その手があったか!」
「チラリズム。捨てがたいな」
「でもそれだと何月で、どの服でもいいんじゃねぇか?」
「いっそのこと全部ゼシカで撮るってのはどうだ?」
「それだ、ククール! んでもって予約者限定で販売」
「予約先着三十名には等身大ポスタ付き、とかな」
「いいな、それ。売れたら俺ら、ちょっとした小金持ち?」
「マダンテ」
「…………」
「………………ゼシカのねぇちゃん、いきなり全魔力解放は、ちょっと、やりすぎじゃねぇかと」
「何か言った?」
「いえ、何も言ってやせん」


**


ゼシカ最強、これ基本。






ククールの場合

「別にどの月の何でもいいけどな、オレは」
「あら、欲がないのね。こんな服着てみたいとかないの?」
「男がそれ言ってもな。まぁ、元が良いからどんな格好しても良い写真が取れるに決ってるさ」
「さらりとむかつくことを言うでげすな」
「じゃあお前、二月の節分の赤鬼な」
「…………は?」
「全身赤タイツで虎柄パンツ。俺、全身青タイツで青鬼やるから」
「ごめんエイト、オレが悪かった」


**


エイトは本気だ。






トロデ王とミーティア姫の場合

「そうじゃな、わしは七月で良いぞ」
「七月? ……トロデ王、もしかして彦星、とか言わないわよね?」
「わしが彦星だとまずいか?」
「……まずかぁねぇが、釣り合う織姫を探すのが大変だよな」
「ん? なんじゃククール、それはどういう意味じゃ?」
「いえ、陛下ほど高貴な方のお相手となるとその辺りの娘にやらせるわけには参りませぬゆえ、つり合うお方を探すのが大変だと、そういう意味ですよ、ねぇ、ククール?」
「そのとーりデス。すみません、ごめんなさい」
「エイト、とりあえずククールの喉から剣、外してやったらどう?」
「馬姫さまが織姫をやったらどうでげすか? 姫なら身分も見た目もばっちりでがしょう?」
「そうねヤンガス。でも駄目ですわ。ミーティアは六月をやると決めてますの」
「六月? 何かありやしたっけ?」
「ああ、もしかしてジューンブライド?」
「素敵! じゃあミーティア姫、ウェディングドレス着るのね?」
「いいえ、確かに白い衣装ではありますけれど、ウェディングドレスじゃありませんわ」
「え? じゃあ一体何をするつもりなの?」
「六月といえばもっと相応しいものがあるでしょう?」
「六月……梅雨、ですか、姫殿下?」
「そう、それ! さすがですわ、エイト!」
「梅雨で白いもの……ミーティア姫、もしかして」
「ええ、ミーティア、照る照る坊主になりたいのです」
「……やっぱりこのお姫さま、エイトの幼馴染だけあるな」


**


首吊りという部分に惹かれたのだと思われる。




ブラウザバックでお戻りください。
2006.09.02








拍手お礼小ネタ第十三弾。
某ローカル番組の某企画を見て質問を思いついた。