「やっちゃった、と思ったドジを教えてください」 エイトの場合 「こりゃもう、あれしかないだろ」 「え? どれ?」 「兄貴ってあまりドジとかやってるようには見えねえでげすが」 「ドジってより人生最大の失敗?」 「だから、何よ」 「ククールとやっちゃったこと」 「……本人目の前にして言うとはいい度胸だな、お前」 ** 「むしろその発言を後悔させてやる」とそのまま部屋へ連れ戻される。 基本的にエイトさんの生活は「やっちゃった」ことでいっぱい。 ヤンガスの場合 「昔仕事の最中に油断して、魔物の襲撃を受けたことでげすかね」 「へぇ、でもヤンガスならそれくらい大丈夫だったんじゃないの?」 「そうでもねぇでげすよ、ゼシカの姉ちゃん。昔はアッシもそれほど強くなかったでげすし、何より逃がさねえとならねぇ奴らがいやしたから、中々あの時はピンチでがした」 「逃がさないといけない奴? ヤンガス、山賊仲間とかいたの?」 「あ、いえ、違いやすよ、兄貴。目の前に商人とその子供がいたんで、先にそっちを逃がしてやったんでげす」 「…………ていうか、その商人、お前が襲ってた相手じゃないのか?」 「金品巻き上げるけど、魔物からは守るってどうよ」 ** 命はいらねえ、金寄越せ。 ゼシカの場合 「そうねぇ、私あまり失敗とかは覚えてないほうだから」 「ああ、それっぽい。結構ばっさり忘れてそう」 「ゼシカ、前向きだもんなぁ」 「うじうじ悩んでるより、随分マシでげすよ」 「あ、最近一つあったわ。私ね、実はいつもエイトに魔法使うとき手加減してるの。魔力もそこまで高めないし、直撃しないようにしてるんだけど」 「…………あー、そういえば一昨日くらい、本気でエイト死にかけてたな。もしかしてそれ?」 「そう。手加減忘れてて。ごめんね、エイト」 「……………………」 「『やっちゃった、と思ったドジ』じゃなくて、『殺っちゃった、と思ったドジ』なわけね」 「兄貴、強く生きるでげすよ!」 ** 常に命がけ。常にスリリング。 ククールの場合 「……顰蹙買いそうだから、黙秘権を行使する」 「いいわよ、どうせろくでもないことなんでしょ」 「ククールのことだからな、下ネタだろ、どうせ」 「女がらみでげしょうな」 「うーん、オレって愛されてねえなぁ」 ** 否定しないククール。 実際、「最中に別の女の名前を呼んだ」とか「うっかり中に」とか、そんなんだと思う。 うーん、逆にそういうドジは踏まないかなぁ。 トロデ王とミーティア姫の場合 「そうじゃのぅ、私的な手紙とサザンビークへの親書を入れ間違えておったことかの。あの時は肝が冷えたわぃ」 「そういえば慌てて遣いを追いかけたことがございましたね」 「他の家臣に頼むのはどうも気恥ずかしくてのぅ、あの時はすまなかったの」 「いいえ、陛下に頼っていただけてとても光栄に思います」 「……ねぇ、今度トロデ王と話をしているときのエイトのかしこさを計ってみない? 絶対そのときに頭使いすぎるから、普段が馬鹿なのよ」 「平均したら通常値になりそうだよな」 「二人とも、それはちょっと言いすぎじゃ……」 「姫殿下は何かございますか? 姫はしっかりした方ですし、あまり失敗などなさらないように思いますが」 「いいえ、そんなことはないのよ、エイト。ミーティアだってたくさん失敗してますわ」 「へぇ、どんなことなの?」 「そうですわね、一つ思いつくのはあのドマゲルス、と言ったかしら」 「ドルマゲス、だよ、姫」 「そう、それですわ。あの顔色の悪い気の毒な顔をした方」 「酷い言いようでげすな」 「ミーティアがしてしまったドジはあの道化師さんをやり損ねたことですわね」 「…………やり損ねた?」 「……姫殿下、それはどういう?」 「いえ、ミーティアは初めてあの道化師さんを見たときから怪しいと思ってましたの。試しに様子を探らせたら皆戻ってこなくて、ますます怪しいと思いましてとりあえず一人、放ってみましたの」 「もしかして刺客、ですか?」 「ええ。ミーティア直属の。残念ながら戻ってはきませんでしたが。あの時もう少し手鍛れの者を送っていたら、と今でも後悔しております」 ** それが成功してたらゲームが成り立ちません、姫。 ブラウザバックでお戻りください。 2007.08.23
拍手お礼小ネタ第二十六弾。 女性陣のドジはドジと呼べるほど可愛いものではない。 |