「あなたがどうしても許せないことを教えてください」


エイトの場合


「ボケの生殺し!」
「…………きっぱり即答するようなことかしら」
「馬鹿言え、ゼシカ! ボケをスルーされることほど辛いものはないんだぞ!」
「だから、それが世界を救うといわれる勇者が力説することかっつってんだ」
「ククールはボケをスルーされたことがないからそんなことを言えるんだ!」
「兄貴……」
「あの空しさ! あれを続けられたら俺はきっと死んでしまうね!」
「……分かっちゃいたけど、この子、馬鹿よね」
「しかも救いようのない、な」


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エイトのカバンの中にはエンマ帳が入っていて、ボケをスルーした人をチェックしているらしいです。いつの日か恨みを晴らすために(アホだなぁ、この子)。





ヤンガスの場合


「弱いものいじめ、でげすか」
「お、さすが人情スキルマックス」
「どうも我慢がならねぇんでげすよ、力のないものへ暴力振るうってのが」
「だったらヤンガス、あなたよく山賊なんてやってられたわね」
「アッシが狙うのは護衛はいないけど金持ってそうな商人だけでげしたから。ああいう奴らは金さえ出せば護衛も雇える。ケチってそれをしねぇからアッシみたいなのにつけ込まれるんでげすよ」
「……でもヤンガス、俺と陛下のときは?」
「あの時はいろいろ切羽つまってやしたし、それに大きな馬車だったから商人だと思ったんでげすよ」
「俺がいたのに?」
「……勝てると思われてたんじゃね?」
「ああ、まあ、確かに。ぱっと見、エイトってそれほど強そうじゃないものね」
「……ヤンガス?」
「そ、そんなことはないでげすよ! 決して! まったく!」


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倒せる、と判断されたらしい。






ゼシカの場合


「そうね、食事の前にデザートを食べる、っていういのはどうしても許せないわね」
「細かいなぁ」
「あー、でもオレもちょっと分かるかも。なんか気持ち悪いよな」
「でしょ? 駄目なのよ、ああいうの。見てるだけでもなんかイヤ」
「育ちとかが関係してるんでげしょうな。アッシはそのへんは平気でがすが」
「俺も平気だなぁ。っていうか、別に腹さえ膨れれば何でもいいし」
「あとはマヨラーとかも駄目ね、私」
「ゼシカ、マヨネーズ嫌い?」
「嫌いじゃないわよ。ただ、必要以上にかけて食べる人の気がしれないだけ。マヨネーズだけじゃなくて、他の調味料もね」
「あー、たまにいるよな、お前それどっちがメインよ、みたいな食べ方する奴」
「好みだって分かってるから口にはしないけれどね」
「……なんか、視線が痛い気がするでげす」
「でもヤンガスは少し控えた方が良いと思うよ、健康のために」
「あ、兄貴まで……っ」


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ヤンガスは濃い味付けが好き。






ククールの場合


「本への落書き」
「またお前も細かいなぁ」
「アッシは本なんか読まねぇでげすから、気にしたこともないでがすが。書き込む奴、いるんでげすか?」
「結構多い。ほら、旅をしてると荷物増やせないから自然と教会のとか宿屋のとか、公共施設の本を読むこと多いんだ。あとは金かけたくないから古本とか。めくってみたら滅茶苦茶書き込んであったりな」
「読みにくいから嫌いってことなの?」
「まあそういうこと。基本的に読めればいいんだけど、たまに文字にかぶせるように書き込んであるから、むかつく」
「ふぅん。じゃあ今度からククールへの仕返しは本に落書きにしよう。サインペン、買ってこなきゃ」
「……だから、どうしてお前はそういう方向へしか思考が流れないのかな。しかも油性で書き込む気かよ」
「仕方ないわ、エイトだもの」


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「エイト」と書いて「馬鹿」と読む。






トロデ王とミーティア姫の場合


「姫はもちろんのこと、国やエイトを含めた臣下、民のことを貶されるのは許せんの」
「……トロデのおっさん、何王さまみたいなこと言ってるでげすか」
「わしは国王じゃい」
「陛下……勿体無いお言葉です」
「ミーティア姫は? これは許せない、ってのある?」
「スブタ王子」
「…………きっとチャゴス王子のことね」
「確かにあれはアッシも許せねえでげすが」
「姫殿下、ピンポイント過ぎます」
「っていうか、酢豚……」


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興味のない人間の名前を覚える気はさらさらないらしい。




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2007.08.23













拍手お礼小ネタ第二十七弾。