「最近嬉しかったことを教えてください」 エイトの場合 「駄菓子屋で二連続でアイスが当たったこと。リーザスのガキ二人におはじきで大勝したこと。ゼシカに剣玉買ってもらえたこと。ヤンガスに割り箸鉄砲の作り方を教えてもらったこと。ククールに水あめ作ってもらったこと」 「……あんた、毎日幸せそうね」 「兄貴、なんつーか……ほんと、近所の子供みてぇな……」 「お手軽な奴だなぁ」 「あとはまあ、皆大きな怪我もなくその日の行程が終えられれば毎日嬉しいよ」 「…………」 「………………」 「……………………」 「熱計んな、聖水まくな、病気じゃねえしっ、呪いでもねえしっ! ってか、失敬だな、君らっ!!」 ** 珍しくリーダらしいこと言うから、皆びっくりした。 ヤンガスの場合 「あー、そうでげすね、この間久しぶりにパルミドに寄ったら、昔餌をやってた野良猫がまだ生きていたことでげすか」 「野良かぁ。パルミドじゃ生きにくそうだもんなぁ」 「アッシ以外にゃ餌をやる酔狂はいやせんしね」 「ヤンガスって本当に動物、好きだよな」 「ねえ、前から聞きたかったんだけどヤンガス、魔物を殺すのは平気なの?」 「うーん、できればあまり殺したくはねえでげすが、こっちも命かかってやすからね。それにこのパーティで戦意のない魔物を襲う奴なんざいねぇでげすし」 「ま、それもそうね」 「害がなけりゃ魔物もただの動物だしなぁ」 「なぁ、ヤンガス。いつかスライム牧場とか作ってよ。したら俺、毎日遊びに行くぞ」 ** やっぱり少年ヤンガスのゲーム、買ってやるべきかな。 ゼシカの場合 「四日くらい前だったかしら。お休みがあったんだけど、その日一日エイトが大人しかったこと」 「……ゼシカの姉ちゃん、なんか疲れた母親みたいな台詞でげすな」 「もう否定する気も起きないわよ。騒ぎも起こさなかったし迷子にもならなかったし、ククールとケンカもしなかったし。私、それだけでもう良いわ」 「ちょっと気の毒になってきたでがす」 「じゃあゼシカ、それについてはオレに感謝しておくように」 「……? 何でククールに感謝しなきゃならないの?」 「だってその日エイトが大人しかったのって、前の日のよ」 「言ったら殺すよ?」 「………………うっす」 ** エイトさんはたまぁに、部屋から一歩も出ずに大人しくしている日があるそうです。 ククールの場合 「タマゴを割ったら双子だった」 「あー、そういえばこの間飯作ってるとき、わざわざ見せにきたな」 「なんか得したようで嬉しくね? 珍しいもん見れたって気になるし」 「それでお前、もともとスクランブルエッグ作る予定変えて、ただの目玉焼きにしたんだっけ」 「……だって崩すのが勿体無かったんだもん」 「……ククールって結構子供っぽいところ、あるわよね」 「兄貴といい勝負だとアッシは思うでげすよ」 ** そんなククールを可愛いと思う今日この頃。 トロデ王とミーティア姫の場合 「そうじゃのぅ、この間エイトが持ってきた酒が美味かったことかの。こんな姿をしておるとそれくらいしか楽しみがなくてのぅ」 「できるだけ陛下のお口に合うものをお持ちできるよう、精一杯努力いたします故」 「うむ、頼んだぞ、エイト」 「もうエイトの態度の違いについては深くつっこまないで次、行きましょ」 「馬姫さまはどうでげすか?」 「最近嬉しかったこと、ですわよね? そうですわね……不思議な泉のお水を飲んで、少しだけでも人の姿に戻れるようになったこと、ですわ」 「申し訳ありません、姫殿下。本来ならばもう呪いを解いていてもおかしくないのに、自分が不甲斐ないばかりに……」 「いいのよ、エイト。皆さんが頑張っているのはミーティア、よく理解してます。一人だけわがままを言うつもりはありませんわ。ただ、少しだけお話ができたので、それだけで今はいいのです」 「姫殿下……」 「お馬さんの姿では伝えたいことも伝えられませんもの」 「……姫が伝えたいことってのは何なんだろうな」 「普段色々溜め込んでそうで、聞くのが怖いわね」 「ぶっちゃけ、聞かないほうがいい気がするでげす」 ** ヤンガス、正解。 ブラウザバックでお戻りください。 2007.08.23
拍手お礼小ネタ第二十八弾。 |