「最近ヘコんだことを教えてください」


エイトの場合


「雑貨屋のくじで、三回連続三等の『死にかけ人形』が当たったこと」
「あー、あの真っ青で白目剥いて、首に縄かけた手足の長い気味の悪い人形な」
「なんで三回連続よ。まだ五等のポケットティッシュのほうが良かったし」
「運がいいのか悪いのか分からねぇでげすな」
「エイトその人形は結局どうしたの?」
「一個は側にいた子供が欲しそうにしてたからあげて、一個はおもちゃ箱の中に押し込んで、残り一個はあそこ」
「……良かったじゃねぇか、王さま。良いパートナーができてよ」
「並んで座って、お似合いでげすよ」
「トロデ王も嫌なら嫌って言いなさいよ……」


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姫に見せたら気に入ったらしいので、乗っけてあげたんだとか。






ヤンガスの場合


「エイトの兄貴に腹を指で突かれたこと」
「……エイト、ヤンガスに謝りなさい」
「ご、ごめん、ヤンガス。つい……っていうか、腹、気にしてたの?」
「いや、なんつーか、エイトの兄貴が突きたくなるほどまで育ったかなぁと」
「一種の指針だよな、エイトが興味を持つか持たないかって」


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子供なので面白そうなものをすぐに指で突きます。






ゼシカの場合


「この間ククールと一緒に買い物に出かけたとき夫婦に間違えられたこと」
「? それってよくあることじゃないの?」
「そうでげす、二人並んでたら恋人だって思うでげしょう」
「恋人ならいいのよ、いやよくないんだけど、まだマシ! そうじゃなくて夫婦よ、夫婦! もう、ホント最悪。私、絶対にこういうのとだけは結婚しないって決めてるの!」
「あはは、ククールすっげー嫌われてやがんの。ざまあー」
「……っていうか、そのとき夫婦に間違えられたのって、話してた話題がエイトのことだったからだと思うぜ?」
「あー、なるほどでげす」
「……ヤンガス、何故納得する」


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「どうしたらもっと落ち着きを持ってくれるのかしら」
「食べ物で釣るってのも続けるのは良くないだろうしな」
「一回きちんと教えるべきなのよね」






ククールの場合


「髪の毛洗ったとき抜け毛が酷いこと…………っていうのは冗談で、」
「うっわ、超かわいそう!」
「……それはちょっと同じ男として、気の毒というか、なんというか」
「あー、ククールってうん、そうよねぇ……」
「いや、だから冗談だって」
「エイト、あんたククールに気苦労かけすぎてるんじゃないの?」
「ええっ! あいつの額が広がってるのって俺のせい?」
「あ、やっぱり広がってやすよね? 良かった、アッシだけがそう思ってるのかと」
「冗談だって……」
「育毛剤とか買ってきてみようか?」
「日に当たるのもあまり良くないっていうけどね」
「だからって帽子をずっと被ってるのも蒸れて駄目だっていう話じゃなかったでげすか?」
「人の話、聞けよっ!!」


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迂闊に冗談も言えない。






トロデ王とミーティア姫の場合


「何もしておらんのにスライムに驚かれたことかの」
「そりゃおっさん、顔が怖かったからでげすよ」
「お主にだけは言われたくないわぃ!」
「確かに。顔の怖さだけならヤンガスだってそうよね」
「ゼシカの姉ちゃん、酷ぇでがす……」
「姫殿下は如何です? 何かございますか?」
「そうですわね、呪いをかけられたこと、でしょうか」
「…………」
「………………」
「……それってヘコむとか、そういうレベルの問題か?」
「さすがわしの子! この程度の呪いなど悩む必要もないという、なんと前向きな考え方じゃ!」
「姫殿下らしいですね」
「……いや、そこ感心するとこじゃないと思うわ」
「でもある意味『さすが姫さま』でがすよ……」


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姫にとっては取るに足らない問題。




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2007.08.23













拍手お礼小ネタ第二十九弾。