「勘弁してくれよ、と思ったことは何ですか?」


エイトの場合


「トロデーンでの兵士訓練」
「え? トロデーンってそんなに訓練厳しかったの?」
「あの辺って平和だったんじゃねぇんでげすか?」
「……の、後の恒例サウナ風呂我慢大会」
「……平和だったらしいぞ、ヤンガス」
「でげすね」
「いやー、暑いのは我慢できるんだけど、如何せん周りがなぁ」
「ああ、兵士だから男ばかりなのね」
「そう。もうね、こう、もわもわむきむき?」
「兄貴、あんまり言葉にしないで欲しいでげすよ……」
「最後まで我慢できたら晩飯が豪華になるんだけど、あんまり長居するとみんな意識が朦朧とし始めちゃって、しまいには襲われかけた」
「よしエイト、とりあえずトロデーンに飛んで、お前襲ったって奴教えろ」


**


「呪いが解けたときに赤面するようなポーズ取らせてやるから」






ヤンガスの場合


「ヤンガス、正直に答えなさいね」
「……ゼシカの姉ちゃん、どうしてわざわざ釘を刺すでげすか」
「だって、じゃないとあんた、誰かさんに遠慮しそうだもの」
「……なあ、ククール、ゼシカたちは何の話をしてるんだ?」
「いいから黙って聞いとけって。ヤンガス、『勘弁してくれ』って思ったことは?」
「…………え」
「え?」
「エイトの兄貴が戦闘中、つられてもないのに踊っていること……」
「ヤンガス……」
「よく言ったわ、ヤンガス」
「も、申し訳ねぇエイトの兄貴! 兄貴がアッシたちを和まそうと努力してらっしゃるのは分かってるでげすが、できれば他の手段を……!」
「和まそうと努力?」
「あれはただ楽しんでるだけよね」


**


エイトへの忠義とゼシカへの恐怖心と。
ゼシカの勝ち。






ゼシカの場合


「基本、エイトに関することは八割がそうね」
「きっぱりはっきりと言い切ったでげすね」
「迷いもないな」
「…………俺への気遣いも一切ないよな」


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ちょっとは気遣われたいエイトくん19才(推定)。






ククールの場合


「あー……えーっと……」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………ククール?」
「…………あ、兄貴のことかな、うん」
「………………!」
「上目遣いにやられたわね」
「アッシも兄貴にあれやられてたら、絶対言えなかったでげす」


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正直言えばエイトの行動についてだけれど、泣きそうな顔で見つめられたので、
気の毒になって言えなくなったククールさん。
言葉だけじゃさすがに無理があるネタだ。






トロデ王とミーティア姫の場合


「これはもう呪われたことしかないじゃろう」
「ああ、それはそうよね。実際には『勘弁してくれ』どころじゃないでしょうけど」
「陛下、何かと不自由でしょうがもうしばらくご辛抱を」
「安心するでげすよ、おっさん。アッシらがラプソーンを倒してやるでがす」
「お姫様はどうだ? 何かあるか?」
「そうですわね……こんなこと口にしてはいけないのかもしれませんが……」
「いいわよ、言っちゃいなさいよ。そういうお題なんだし」
「そうそう、溜め込んどくのはよくないぜ?」
「そうですか? それでは……正直申し上げまして、あの、サザンビークの王子との婚約話が……」
「姫殿下……やっぱりお気が乗らないのですね」
「それはそうでがすよ。相手があの王子じゃあ」
「ただ王子として生まれただけで何のとりえもないのにその立場に胡坐をかいて座り込んで、努力もしようとしない、人に頼りっぱなしで、皆が皆自分にしたがって当然だと思っているあの態度もですし、走るより転がった方が早いのではないかしらと思う体型もですし、一回鏡見てみろよと思わず突きつけたくなる顔もですし、その顔と体型でで優雅なお辞儀とかされても正直滑稽……っていうか、そんな昔の恋愛話を持ち出して本人の意思を無視して勝手に婚約って」
「お姫様、本音、だだ漏れ」


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「そもそもミーティアも王族だから王族であることは一切セールスポイントにならないっていうか」




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2007.10.26













拍手お礼小ネタ第三十三弾。