「一度でいいからやってみたいこと」


エイトの場合

「ム○カごっこ」
「こら。他作品のキャラクタ名を出すな」
「えーと、じゃあ、たくさんの人間が空飛ぶ城から落ちていく様を見ながら『ふははは! 見ろ! 人がゴミのようだ!』って言いたい」
「具体的な説明をありがとう。あんたの性根がとことん腐ってるってことがよく分かったわ」
「なんで!? 誰だって一回くらいやりたいと思うもんじゃねえの!?」
「兄貴、申し訳ねぇでがすが、アッシは思わねぇでがす」
「えー。だって気持ちいいと思うぞ? バラバラと人間が落ちてくんだぜ? それを見ながら『ふははは!』って笑うんだぜ?」
「気持ちよくないわよ」
「絶対できないって分かってるからこそ、やってみたくなるんだよなぁ。人間ってフ・シ・ギ!」
「お前の頭が不思議なだけだ」


**


ラストでは「目がっ! 目がぁ!」と情けない声で叫んでくれるに違いない。






ヤンガスの場合

「アッシは、大根の煮付けを死ぬほど食べたいでがす」
「…………」
「…………」
「…………」
「な、なんでがすか? アッシ、何か変なこと言いやしたか!?」
「……いや、なんつーの、ほら」
「ヤンガス、大根の煮付け、好きなの?」
「三食煮付けでもいいくらいでがす」
「イメージにそぐわねぇなぁ。なんか、もっとこう豪快に肉とか食ってそうなのに」
「ククール! それは偏見でがす! 肉も好きでがすが、それよりアッシは大根の煮付けが食いたいでがす」
「……私、今初めてヤンガスが可愛く思えたわ」
「ヤンガス、今度、大根たくさん買ってきて煮付け作ってやる」
「ほんとでがすか、兄貴!?」
「……あー、オレもヤンガスが可愛く見えてきた」


**


よく煮込んだ大根っておいしいですよね。
ヤンガスは家庭料理が好きだといいな、という妄想。(で、ゲルダはそういうのが実は得意、とかだと尚更いいな。)






ゼシカの場合

「そうね。少女漫画に出てきそうなお決まりのデートってのをしてみたいわね」
「俺、少女漫画読まないから知らないけど、具体的には?」
「公園の噴水の側か時計の下で待ち合わせして、腕時計見ながら『遅いなぁ』って呟いて、やっと来た彼氏とまずは軽いお昼を食べに行って、映画館へ行って、その後はショッピングをしてもいいし、散歩をしてもいいし、で、夜は夜景の綺麗なレストランで食事」
「……胸焼けがしそうなほどお決まりのコースだな」
「でもククールはそういうの得意でがしょう?」
「まぁな。相手が喜ぶのならいくらでもセッティングするぞ」
「面倒くさいことするんだなぁ」
「面倒がってたら女と付き合えないぞ?」
「ゼシカ、ククールに頼めばそれ、叶うんじゃないでがすか?」
「うーん」
「なんだよ、ゼシカ。オレじゃ不服だって?」
「そうは言ってないわよ。あんただったら連れて歩いても絵になるし、十分サービスしてくれそうだから楽しめそうなんだけど」
「じゃあ、何で首傾げてんの」
「相手が誰であろうと、私が耐えられないのよ。途中で大笑いしそう」
「…………いくらオレでも、それはちょっとフォローできないなぁ」
「自分で無理にしちゃってんじゃねぇか」
「だから、一度でいいからやってみたいこと、なんじゃない」


**


マニュアルに載ってそうなデートを。






ククールの場合

「……………………」
「……どうした、ククール?」
「…………いや、なんつーか」
「どうしたんでがすか? 何も思いつかないとか?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど」
「じゃあ何よ。はっきり言いなさいよ」
「……思いつくものが全部下ネタだったから、口に出してもいいものかどうか悩んでいるわけです」
「………………あー、」
「聞くんじゃなかったわ」
「…………ちなみに、ちょっとした好奇心なんだけど、その内容を聞いてもよいですか、ククール兄さん」
「やめときなさいよエイト、聞いていいことはないわよ」
「えー、当り障りのないところだとコスプレとか。……エイト、メイド服とかナース服とか着ない?」
「…………」
「……猫耳でもいいんだけど」
「……………………」
「……エイト、お願いだから悩まないで」


**


エイトはきっとウケが狙えるかどうかを悩んでいるのだと思う。






トロデ王とミーティア姫の場合

「そうじゃのぅ……わしは思いつかんの」
「ほんとでげすか?」
「ああ。もうわしくらいの年になるとな。それにわしは一国の王じゃからの、普通の人よりはずいぶん恵まれた生活をしておった。これ以上望むことはないの」
「そりゃそうだろうな」
「さすが陛下。なんとも陛下らしい素晴らしいお考えです。自分にはとても真似できません」
「……そりゃそうでしょうよ、『ムス○ごっこ』って即答するバカには無理でしょうよ」
「ミーティア姫はいかがですか?」
「あっさりゼシカの言葉を無視したな」
「自分の都合の悪いことは聞こえないのよ」
「ミーティアは一度あれをしてみたいですわ」
「あれ、とは?」
「恐怖政治を」
「………………はい?」
「う、馬姫さま、本気でがすか?」
「ええ」
「いや、そんなにっこり笑って言われても」
「ひ、姫、あの、恐怖政治って言われますとその、ざっくりばっさり国民を処刑していかなければならないのですけど。姫殿下は虫も殺されたりなさりませんよね?」
「ええ。小さな虫さんだって懸命に生きているんですもの。殺すだなんてとんでもないわ」
「ミーティア姫、じゃあ罪のない人を殺したり出来るの?」
「そんな! 罪もない人を殺せません!」
「えと、それじゃあ姫殿下、恐怖政治は無理なのでは?」
「いいえ! ミーティア、頑張りますわ」
「……トロデーン、大丈夫なのか?」


**


ミーティア姫の性格をこの方向で進めてもいいでしょうか。




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2006.01.05








拍手お礼小ネタ第五弾。
そろそろ姫がおかしくなり始めてる。