「子供の頃の夢はなんですか?」


エイトの場合

「ピーマン!」
「…………は?」
「ピーマンになりたかった!」
「あ、兄貴、そりゃまた、どうして?」
「何で野菜に憧れてんのよ」
「緑だったから!」
「色が重要だったんでげすか」
「当たり前だろ。どれだけ俺が緑黄色野菜食べたところで、ああいう色にはなれないんだぜ?」
「……安心しろ、エイト」
「なに、ククール?」
「お前はピーマンによく似た子に育ってるから」
「?」
「頭、空っぽだろ」


**


小さい頃出された食事に入っていたピーマンを見て、「どうしてこいつはこんなに緑なのだろう」と思って見ていたら、厨房のおばちゃんにピーマンが嫌いだと思われて、「それを食べたら強い子になれるよ」と言われたのが憧れるようになった切っ掛けらしいです。






ヤンガスの場合

「……アッシも言わないと駄目でげすか?」
「当然。どうした、何か言いにくいことでもあるの?」
「い、いや……わ、笑わないでくださいでげすよ?」
「笑わない笑わない。大丈夫だからほら、さっさと言え」
「…………動物園の園長さん」
「…………ちょっとエイト、ククール。笑っちゃ駄目。ヤンガス、動物、好きなの?」
「好きでげすね。小さい頃近所にいた野良猫とか野良犬とかに、こっそり餌とかやってたりして」
「そういえば、道端にいる牛とか、ヤンガスには近寄ってくるわよね。案外向いてるんじゃない?」
「そうでげすか? そう言われると嬉しいでげす」
「人情スキルもあることだし。動物って、優しい人を感じ取る能力があるんでしょうね。…………って、そこのバカ二人、いつまで笑ってんの。ヤンガスに失礼でしょ」
「い、いや、ご、ごめん」
「だ、だってさ、エイトが、動物園の中をヤンガスが歩いてたら、『どこかの檻からゴリラが脱走してる!』って思われそうだって言うから……」
「あ、ククール、言うなよ!」
「兄貴、酷いでがす……」


**


餌を与えないでください。






ゼシカの場合

「うーん、私の場合は兄さんのお嫁さん、だったかな。結婚すればずっと一緒に居られる、って思ってたもの」
「ゼシカ、相当お兄さんっ子だったんだなぁ」
「そうね、否定はしないわ。今でもそうだし」
「あれ? でもゼシカ、お前今、許婚、いなかったっけ?」
「ああ、そういえば何回か顔、見てるでがすね。サザンビークの大臣の息子でげしたっけ」
「嫌なこと思い出させないで頂戴。私は了承した覚え、ないんですからね」
「でも向こうは乗り気だったじゃん」
「そりゃなぁ、相手がゼシカだってんなら、性格よく知らなかったら乗り気にもなるさ」
「ちょっとククール、それ、どういう意味?」


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何のかんの言いながら、ククールはゼシカをいい女だと思ってます。本気で。






ククールの場合

「……誰にも頼らず生きていくってことかな」
「夢のねぇガキだなぁ」
「しょうがねえだろ、夢を抱くその前に現実を突きつけられたんだから」
「あんたも結構気の毒な境遇で育ってるわよね。ねぇ、じゃあ、もっと昔は? 両親といた頃のときとか」
「えー? かなり小さかったからなぁ。あんま覚えてねえけど……。このまま親父のようになるのかなぁ、とは思ってた気がする。それはヤだなぁって」
「ククールの親父さんって、領主だったんでげしょう? 嫌だったんでげすか」
「領主が嫌ってか、親父が嫌いだった。怖かったし」
「よく怒る人だったんでげすか?」
「いや、怒られた記憶はないね。関心を寄せられた記憶がない。いっつも無表情でオレを見下ろしてた。うん、あー、そういえば、そうだ、村で子供が親父に抱き上げられてる光景を見て、うちの親父はそういうことをしないってことは分かってたから、大きくなって子供ができたら絶対にああやって子供と遊んでやるんだ、って思ってたかも」
「あんた昔から大人びた考えをしてたのね」
「だから、境遇が悪かったんだって。それよりもゼシカ、是非とも君にオレの夢を叶えてもらいたいんだけれど?」
「絶対、嫌」
「えー、だってエイトじゃ子供、生めないじゃん」
「細胞分裂くらいなら試みてもいいけど?」
「…………止めてください。本気で止めてください」


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細胞分裂、つまり、エイトとまったく同じ人間がもう一人。
怖。






トロデ王とミーティア姫の場合

「わしは立派な王になる、だったかのぅ。物心ついたときには既に王としての教育をされてきたからの、それ以外考えられなかったわい。王族の定めじゃの」
「そういうのを聞くと、王族も大変ねって思うわね」
「サザンビークの豚王子見てると全然そうは思わねーけどな」
「姫殿下は如何です? 小さな頃、どのような夢を持っていらっしゃいました?」
「女王さま」
「…………そうね。姫さまは姫なんだから、お婿さんでも取れば女王さまになれるんじゃない?」
「いいえ、そういう意味ではない女王さまになりたかったですわ」
「そういう意味ではないって……兄貴、どういう意味だか分かりやすか?」
「…………」
「エイト、お前、姫様の忠実な家臣なんだろ? 夢、叶えてやれば?」
「……い、いや、さ、さすがの俺も、それは、ちょっと……」
「実は今でもそう思ってまして、色々集めてますの」
「…………姫さま、一体どこでそんなものを手に入れてるのよ」
「通販で」
「ムチと蝋燭、あー、アミタイツもあるなぁ。姫さま、あれ着るのか」
「…………呪いが解けたら姫に通販カタログ渡した馬鹿をぶった切ってやる」


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王女なのであまり自由に外を歩けない彼女は、通販の愛好者。




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2006.05.26








拍手お礼小ネタ第八弾。
定番の質問。