「恋人にプレゼントしたいもの」


 エイトとククールの場合


「常識と知能」
「………………何故に即答、しかもそんな力一杯言わなくても」
「人間、叶わないと分かっているからこそ、強く願ってしまうこともあるってことだ」
「……なんか、ものすっごい失礼なことを言われている気がするんだけど、気のせいですか。怒っていいですか。殴っていいですか。落ち込んでいいですか。泣いていいですか」
「うざいからどれも却下。で、エイトはオレに何プレゼントしてくれんの?」
「えー……俺があげんの? アメ?」
「そりゃお前が好きなもんだろうが」
「うん、だからアメ。アメ、美味いよ」
「それはオレに渡せばお前に戻ってくるからそう言ってんのか、それとも美味しいものをオレにも食わせてやりたいって考えて言ってんのか、どっちだ?」
「…………もちろん後者に決まってるじゃあないかぁ」
「そうかそうか、本気でそう思ってんなら、とりあえずオレの目を見て言え」


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きりっと目を見て言ったら頭突きされました。






「恋人にプレゼントしたいもの」


 ゼシカとヤンガスの場合


「えー、そうねぇ、オーソドックスなところで言えばやっぱり手料理、とかかしらね」
「ああまあ、御馳走して貰って嫌な気になるこたねぇでげすしね」
「味にもよるだろうけどね。私も旅に出てからちょっとは上手くなったのよ?」
「ああ、分かるでげす。最近のゼシカの姉ちゃんの飯はちゃんと食えるでがすし」
「なんか含みのある言い方ね。まあいいけど、ヤンガスは?」
「アッシ? アッシも答えるでげすか?」
「もちろん、ほら、何をプレゼントしたい?」
「あー……そ、りゃ、やっぱり、宝石、とかで、がすかね……」
「ふふ、今度はどのビーナスの涙にする?」


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きらきらしてるものに弱い。






「あなたの宝ものを見せてください」


 エイトとククールの場合


「…………」
「…………」
「…………なんか答えろよ、バカリスマ」
「お前こそ、何か答えろよ、アホ勇者」
「ほんとに答えていいの? じゃあお言葉に甘えて。えーっとね、まずね、こないだ雑貨屋で買ってもらった死にかけ人形の呪いサンダー13号でしょー、昔姫殿下から頂いた藁人形のばらばらさんでしょー、あ、こないだ道端で拾った青い石、これはね一人でできるもん、って名前! あとねー」
「オレが悪かった。とりあえず黙れ。で、出したものは全部玩具箱にしまいなさい」
「何だよ、答えていいって言うからわざわざ箱持ってきたのに。じゃあ片づけとくから、ククールさんの模範解答をその間にどうぞ」
「解答も何も、宝物だろ? 見せてやってんじゃん」
「…………何を?」
「オレの素晴らしきルックスを。全人類の宝だ、ろぉっ!?」
「ちっ」
「……エイト、お前今、全力で顔面狙ったな」
「全力で顔面を狙わない理由が分からない」


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どちらもかなり真面目に答えてます。






「あなたの宝ものを見せてください」


 ゼシカとヤンガスの場合


「アッシの場合は縁でげす!」
「エン? ええと、エニシとかそういう意味の縁?」
「そうでがす。一番はエイトの兄貴と出会えたこと」
「ヤンガスは本当にエイトのことが大好きなのね」
「当たり前でげす。兄貴のようなお人に出会えてアッシは幸せもんでがすよ」
「そうね、それは同感。私もエイトに会えて良かった、って思うわ。もちろんヤンガスにもククールにも会えて良かった、って思う」
「あ、アッシもでげす!」
「ありがとう。そう言われたら私も一番の宝物は同じになっちゃうわね。同じ答えじゃつまらないから、私は別の宝物にしようかな」
「? 耳飾り、でげすか?」
「飾りじゃなくて穴の方」
「穴? ああ、耳に空いてる……」
「そう。ピアスホール。昔ね、どうしても開けたくて一人でこっそり開けようと頑張ったの」
「自分で、でがすか」
「そう。氷で冷やして血を止めてね。で、兄さんにバレてすごく怒られて」
「あー……自分の身体を傷つけるなとか、そういう?」
「それもあるし、何で一人でやったんだ、って。鏡見ながらやってもなかなか上手くいかなくて。ちゃんと高さも揃えなきゃカッコ悪いだろ、って左は兄さんが開けてくれたのよ」
「へぇ、なかなか理解のあるにーちゃんだったんでげすね」
「自慢の兄さんですもの」


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兄妹での共同作業。




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2012.01.14
















エイトさんが「××号」と名前につけたがるのは、
「なんか強そうだから」だそうです。