両手の先 星喰みを倒し、魔導器を失ったとはいえ、世の中平和になったのはいいことだ。しかし、だからといって、いくらなんでもこれは平和になり過ぎではないだろうか。 彼らの仲間であるエステルが城にいるため、時折凛々の明星のメンバはリタを交えてザーフィアス城に集まることがある。いくら皇位をヨーデルに譲ったとはいえ、王族であるに変わりないエステルは、やはりそう自由に動ける身ではなく、そんな彼女を案じてか仲間たちは定期的に顔を見せにきているようだった。 もちろん彼らと深い関わりを持っているフレンもその時に顔を合わせ、新皇帝となったヨーデルも時折席を共にすることもある。王族二人を前にしたところで一行が臆するわけもなく、基本的にはそれぞれの現状を報告する和気あいあいとした空間になるのが常だった。 ユーリたちが来ている、そんな知らせを受けて急ぎの案件だけを片付け、皆が集まっているという部屋へ合流できたのはフレンが一番最後だったらしい。「失礼します」と室内へ入り、「お久しぶりですね」と室内を見回したところで。 「…………」 どうも雰囲気がいつもと異なっていることに気が付いた。 テーブルにはにこにこと笑みを浮かべているヨーデルとジュディス。その側には目をきらきらとさせたエステルにパティ、額を押さえたリタ。どこか乾いた笑みを浮かべたレイヴンに、今にも泣き出しそうな顔をしたカロル。 そして。 「…………ユー、リ?」 艶やかな漆黒の髪の毛に、揺らめく深紫の瞳、そのパーツ一つ一つはどれを見ても彼が最愛の半身であることを指しているのだが。 ぶすぅ、と頬を膨らませた彼は、椅子からぴょこん、と飛び降りると、どうみても彼には不釣り合いな大きな衣服をずるずると引きずりながらフレンの方へと近寄ってきた。ん、と無言のまま両手を伸ばされ、思わず抱き上げる。きゅう、と首筋に抱きついてくるその細い腕、小さな手は、多く見積もっても三つか四つ程度の子供のものだった。 「えー……っと、出来れば説明いただければ、ありがたいんですが」 混乱した顔をしつつも、ユーリが座っていた椅子付近に落ちていた衣服(おそらく大きすぎて脱げてしまったものだ)を片付けながら、フレンがくるり、と一同を見回す。この場合、誰に説明を求めれば一番的確だろうか、と思ったところで自然と瞳がレイヴンのところで止まった。 フレンからの視線を受け、緩く首を振った男は、「陛下と嬢ちゃんのお遊び」と口にする。 さすがに子供を抱き上げたまま服をたたむのは難しく、軽くまとめただけのものを避け、勧められるまま椅子へ腰掛けた。どういうことだろうか、と今度は正しく発端であるだろう人物へ目を向けると、「珍しいものが手に入ったもので」とヨーデルはけろりと言ってのけた。 彼が取り出したものは透明の液体の入った小瓶。数滴ほどで効果の出るそれは、生き物の時間を数年単位で戻してしまうものだとか。 「大丈夫ですよ、身体に害はありません。半日もすれば元に戻りますし、効果は私とエステリーゼで確認済みです」 「確認、済み、なのですか?」 「ええ、もちろん。危険なものを人様に飲ますわけにはいきませんから」 平然と吐き出される言葉に、頭を抱えたくなってくる。彼ら二人はこの国を統べるべき位置にいる人間なのだ。そんな彼らがあっさりとそんな怪しいものを口に含んでいたなんて。 「従者は何をやってるんだ……」 思わず低く呟いたフレンへ「おっさんも同意見」とレイヴンが諦め気味に同意した。やはり城という世間から離れた場所で育ったせいか、ヨーデルもエステルも人とずれた部分が多々ある。だからと言って彼ら二人が無能というわけでは決してないが、穏やかに見えて実は強引な二人に押し切られては、側に仕えているものたちも逆らえなかったところもあるのだろう。 「それで、ユーリに飲ませてみた、と」 「だって、フレン! ユーリ、かわいいですっ!」 とりあえずエステリーゼ様、その文章は「だって」では繋がりません。 そんなツッコミを心の中だけでしながら、この面子で考えると一番ユーリの子供姿が見たかったのだろう、と推測する。 「そうね、ほんと可愛いわ」 「ユーリ、女の子みたいなのじゃ」 「ボクより小さいユーリって、何か新鮮」 「その薬、いったいどんな術が仕込まれてるわけ?」 口々に好きなことを言い始めた彼らへ、小さな手でフレンにしがみついていたユーリががば、と顔を上げると、「うるせぇ!」と声を荒げた。 「オレは今すげぇ落ち込んでんだっ! 少し静かにしやがれっ!」 プライドの高い彼としては、このような姿にされてしまったことは非常に悔しいことだろう。フレンに比べ柔軟性に富んだ性格であるためすぐに立ち直るだろうが、それでも精神的安定を図る時間も必要なわけで。 それを求めて振り返ったユーリだったが、少し目を潤ませた彼の顔は強烈に可愛らしかったらしく。 「やっぱり可愛いです」 「声、ボクより高い!」 「うっわ、すっごい目、おっきい」 「きらきらしてるのじゃ」 「おっさんちっさいのはそんな得意じゃないんだけど、これはくらってきちゃうかも」 「こんな子が下町にいたら大変だったでしょうね」 「やっぱり、ユーリに飲んでもらって正解でしたね」 静かになるどころか、余計に盛り上がってしまった。 「もぉ、やだ、こいつら……」 顔を隠すようにフレンの胸元へ額を擦り寄せてくる。その小さな背中をあやすように撫でながら、「仕方ないよ」と苦笑を浮かべた。 「子供の頃のユーリ、ほんとにすごく可愛かったから」 フレンにとっては今のユーリだって十分に可愛い。というより、ユーリがユーリでありさえすれば常に可愛いと思えるのだが、客観的に傍から見た場合でも、これくらいの年の頃のユーリは少女と間違われるほど可愛らしい子供だった。薄汚れた服を着替え、身支度を整えれば、貴族の子供だと称しても疑われなかっただろう。 「何回誘拐されかけたっけね」 物騒なフレンの言葉にぎょ、としたのは他のメンバたちであり、ユーリの方はといえば、唇を尖らせて「お前だって似たようなもんだったろ」と言った。どうやら彼らは下町で、想像以上にスリリングな幼少期を送っていたらしい。 「確かに、これだけかわいけりゃ、変な気にもなるかもね」 少し口元を引きつらせながらそう言ったのはカロルで、「お二人が無事に育って良かったです」とエステルもほ、と息を吐き出していた。 「フレン、鎧、痛ぇ」 そんな中、大人しく抱きかかえられていたユーリが不意に顔を上げ、フレンが纏っている鎧をこつん、と叩く。仕事を終えて来てはいるが、一応勤務中であるためフレンは簡素な鎧を身に着けていた。確かにこの状態で抱きかかえられていては、冷たい金属に肌が当たって痛いだろう。 「フレン、仕事はもう終えているのでしょう?」 「そうですよ、ユーリが可哀そうです」 ヨーデルとエステル、二方向からの鎧を脱げ攻撃に逆らう術などあるわけもなく、一度抱えていたユーリを下ろすと肩当てと手甲を外し、壁際にあったソファの側へと置いた。 「これでいい?」 痛い、と始めに文句を言った相手へ尋ねれば、ん、と頷いて再び両手を伸ばしてくる。抱き上げろ、という意味なのだろう。 「どうしたの、いやに甘えるね」 子供の頃であったとしても、ユーリはここまでべったりとくっついてくるタイプではなかった。ましてや皆がいる前でこの行動は珍しい。嫌なわけでは決してなく、むしろ大歓迎できる行為だったが、疑問は覚える。素直に口に出して尋ねれば、「オレは今、ものすごくキズついてんだよ」と唇を尖らされた。思わずキスを落としそうになった衝動を堪えながら、「まあ、いきなり子供に戻ったらね」と眉を下げる。 「そう、オレは今ガキなんだよ。こんな身体じゃ何もできねぇし、あとはもう、甘えるしかねぇだろ。で、甘える相手つったらお前以外いねぇし」 だから思う存分べたべたしているのだ、と。 筋が通っているのか、ぶっ飛んでいるのか。 いまいちよく分からない理論を振りかざしているユーリは、おそらく彼なりに混乱しているのだろう、と思う。あるいは自棄になっているのかもしれない。 あっけに取られている仲間たちを置いて、「喉乾いた」とユーリはフレンを見上げた。 「お茶でいいの?」 「ん、オレのカップ、それ」 机の上にある飲みかけのカップを取ってユーリに渡してやる。自分で動く気はさらさらないのか、大人しくそれを受け取ったユーリは両手でカップを支えて口付けた。普段の彼からは想像もつかないような幼い動作に、一同は言葉すらもう出てこないらしい。こく、こく、と口元を動かしていたユーリを見下ろし、それも仕方ないか、と思っていたところで、不意に顔を上げたユーリと目が合った。 にやり、と目元だけで笑んでみせる彼に嫌な予感を覚え、尋ねようと口を開く前に、突然ユーリがフレンの膝の上で立ち上がる。 「う、わ、ユーリ、危な、――――んッ」 小さな手のひらで頬を包まれ、そのまま強引に口づけられた。口内へ入り込んできたものは、甘味の強いお茶。ユーリのことだ、また大量に砂糖を入れたのだろう。 入れ過ぎは体に良くないと後で注意しておかなければ、そんなことを考えてしまったのはどう考えても現実逃避だった。 皆がいる前でユーリからのキス。彼らしからぬ行動は、自棄になっているだけのものだろうか。いや、ある意味自棄になっているといえばそうなのだろう。何せフレンの口内に流し込まれたそれは先ほどまでユーリが飲んでいたもの、つまりは。 「…………ユーリ?」 「お前も同じ目にあってみやがれってんだ」 お茶を嚥下し、口元をぬぐいながら小さな少年を睨めば、彼はそう言ってぴょこん、とフレンの上から飛び降りた。 ユーリが口にした薬は液体で、そんなものを自ら飲むはずがなく、おそらくは何かに混ぜられていたものをそれと知らずに飲んだはずだ。 「このために鎧、脱がせたのか」 深くため息をついて額を抑える。身体が縮むということは、今のユーリと同じように衣服が合わなくなるということ。袖をまくって腰の部分を紐で縛り、なんとか裸になるのを免れているような状態のユーリは、「お察しのとーり」と笑った。薄手のものとはいえ、あの鎧は子供の体には重すぎるだろう。 「まったくもって要らない気遣いをありがとう」 憮然としたまま言えば、「あの時に気づかなかったお前が悪ぃ」と言い切られてしまった。 「……ユーリの可愛さに目がくらんでたんだよ」 そう返したところでぐらり、と視界が歪む。基本的に健康であるためあまり見舞われたことがないが、おそらく眩暈や貧血はこんな感じなのだろう、と呑気に考えつつ、次にクリアな視界を取り戻したときには見える世界が変わっていた。 「――――ッ!」 こちらを見ているエステルの目の輝きが一層増した。「うわぁ」と感嘆の声を上げただけでカロルも言葉を失っているようだ。 「これまた、ユーリちゃんに負けず劣らず」 「なんていうか、美形は小さな頃から美形なのね」 顎をさすりながら言ったレイヴンに、頬に手を添えてそう言うジュディス。 「フレンも可愛いのじゃ!」 「ほんと、どんな遺伝子してんのよ」 嬉しそうにパティが声を上げ、隣では呆れたようにリタがそう呟きながらお茶を飲んでいた。 キラキラと輝く金色の髪の毛も真っ青な瞳もそのままだが、今は失われてしまっている柔らかな頬に、子供らしいぷくぷくとした手足。 「可愛いですよ、フレン」 上司からにっこりと笑顔とともにそう言われ、「ありがとうございます」としか返せない。騎士団服は子供には丈が長すぎるため、それすらも脱いでインナーの腰の部分を紐で縛る。ズボンは端から諦めているが、ユーリと同じように下着だけはずり上げて、それも紐で押さえてあるので大丈夫だろう。 椅子の上に立って身支度を整えたフレンは、とりあえず自分の姿を確認したあと、小さな手のひらを見つめ、ふぅ、と一つため息をついた。 「可愛い姿になったな」 椅子の側でこちらを見上げてユーリがにたり、と口元を歪める。その彼を見下ろし、「君のおかげで、ね!」と言うと同時に、ユーリめがけて飛び降りた。 突然のことに避け切れず、フレンごと床に倒れたユーリはしたたかに背中を打ったらしい。 「痛ぇな、バカフレン! なにすんだっ!」 「それはこっちのセリフだよっ! 僕を巻き込む必要はなかっただろう!?」 「大ありだっつの! オレだけだと悔しいだろうがっ!」 「そんなの、ユーリが間抜けなだけじゃないか」 「おう、言ってくれんな。その間抜けに引っかかった大間抜けは誰だよ」 言葉の応酬だけならまだしも、髪を引っ張り、頬をつねり、小さな手足を繰り出して殴り、蹴るという取っ組み合いの喧嘩。 「少年たち、テーブルの側は危ないからあっちのソファの上でやんなさい」 止めるのもバカらしくてレイヴンがそう言えば、ぴたり、と喧嘩を止めた二人は大人しく窓際へと移動した。 そして再び始まる大喧嘩。 「君はいつも考えなしすぎるんだよ」 「お前が考えすぎなだけだろーがっ」 ソファの上で繰り広げられるため、時折勢いあまって落ちそうになる二人を、その都度体を寄せて支えてやっているラピードの姿が非常に健気だ。今もまた、フレンに蹴り飛ばされてソファから落ちかけたユーリの小さな体を、ラピードが受け止めてやっていた。 「サンキュ、ラピード」 小さな頃から運動神経は良かったらしい。相棒へ負担をかけすぎないよう、すぐに受け身を取って床へ飛び降りたユーリは、そう言ってラピードの鼻先へお礼のキスをすると再びソファの上へと飛び乗った。ユーリが戦線離脱している間に、少し息を整えていたらしいフレンは一瞬だけ身構えるのが遅れ、そのままユーリに押し倒されてしまう。うつ伏せに返さしたフレンの上に乗り、足を抱えてギリギリと締めあげるユーリ。 「痛っ! 痛い痛いっ」 「ギブっつったら離してやるぞ」 「だっ、れが、言うかっ!」 再び暴れ始めた二人の側で、ラピードが心配そうにおろおろと行ったり来たりしていた。 「なんだか子犬が二匹じゃれているみたいね」 そんな様子を眺めながらのんびりとジュディスがそう言い、「ラピード、お母さん犬みたい」とカロルが呟く。 「……精神的にも子供に戻っているんでしょうか」 「でもヨーデル、私たちの場合はそんなことはなかったですよね」 おっとりと、元凶である二人がそんな会話を交わした側で、「あの二人はいつもあんなもんでしょ」とリタがどうでもよさそうに言った。 きゃんきゃんと騒ぐ子犬を放置し、のんびりとお茶を楽しんでいたところで、不意に「あらま」とレイヴンが声を上げる。 「あー、静かだと思ったら」 「眠っておるのじゃ」 釣られてレイヴンの視線を追ったカロルがそう声をあげ、パティも幾分声量を落として続けた。 いつの間にか騒ぐ声が聞こえなくなったと思えば、床に下りた二人がラピードの腹を枕にすいよすいよと昼寝へと突入しているところだった。精神はもとのままとはいえ、体は子供のもので体力もさほどないはずだ。暴れるだけ暴れたせいで疲れてしまったのだろう。 「仲良しさんですね」 小さな体をぴったりと寄り添わせ、兄弟のように眠っている。先ほどまでの喧嘩のせいで二人ともところどころにひっかき傷ができており、髪の毛も滅茶苦茶に乱れたままだったが、逆にそれらが二人を一層子供らしく見せているようだった。 「しょうがない、フレンちゃんの部屋に連れて行っときましょーかね」 ここは応接室のような場所で、しばらく居座ったとしても問題はないが、眠るなら慣れた部屋の方がいいだろう。そんな親切心を起こしたレイヴンが、とりあえず、とユーリを抱き上げようとしたところで。 「…………」 体の影に隠れていて見えなかったが、ユーリの右手はしっかりとフレンの左手を握り締めており、彼を抱き上げようとするとフレンまでついてくる。さすがに二人一度は重さ的に辛いため、見かねたカロルがそっとその手を離そうとしてみるが。 「……ぅ、んー……」 しっかり絡まった指の力は思いのほか強いが、解けないほどではない。一本一本、二人を起こさないようにそれぞれの指を引き離している途中で、眠っているはずの二人が小さく呻くような声を上げた。眉をよせ、どこかぐずるような表情。慌ててカロルが手を離せば、またすぐに可愛らしい寝顔へと戻る。 もう一度、と二人の手を引き離そうと試みたが、再び途中で二人がぐずり始め。 「レイヴン、諦めた方がよさげだよ……」 カロルの言葉にそうね、と頷きを返し、抱きあげかけていたユーリを、再びフレンの隣へ横たえた。 ** ** 「ぅあ、んー……」 ふと気づけば、室内に夕日が差し込む時間帯になっていた。むくり、と体を起こしてぐん、と背伸びをする。 「う、お? お、戻ってやがる」 伸ばした腕がいつもの自分のものであることに、ユーリが喜びの声を上げた。同時に室内を見回し、人影がないことに気づく。どうやら眠っている二人(と枕となってくれていたラピード)をそっとしておいてくれたらしい。隣へ目を向ければ、まだ眠っている小さなフレンと、ユーリを見上げてくるラピード。 「ごめんな、ずっと枕させてて」 そう言ってラピードの頭を撫でれば、気にするなとでもいうかのように小さく鼻を鳴らした。 とりあえず起きて服を整え、綺麗に片づけられているテーブルへ目を向ければ、一枚のメモ用紙。 『よく眠っていたので、起こさずにおきます。外からは鍵をかけてますので、ごゆっくりどうぞ』 エステルが書いたのであろう文字に眉を寄せて苦笑を浮かべる。ごゆっくりもなにも、起きてしまったのなら部屋に戻った方がいいに決まっいる。 「ん、ユー、リ……?」 小さな高い声で名前を呼ばれ、振り返ればようやくフレンも目が覚めたらしい。 「なんで、君だけ戻ってるの……」 「そりゃ薬飲んだ時間が違うからだろ」 悔しそうな声音の言葉にそう返せば、立ち上がってふらふらと近づいてきたフレンがん、と両手を伸ばしてきた。もちろん当たり前のように小さな彼氏を抱き上げて、「甘えたがり」と笑ってやる。 「ユーリもやってただろ」 そう言って拗ねるように尖った唇を、ユーリは笑いながら軽く奪った。 「部屋、戻るか」 「ラピード、僕の服……」 「わふっ」 脱ぎ置かれていた鎧を腕の中のフレンに手渡し彼ごと抱える。さすがにこれ以上は持てないユーリに代わって、ラピードがフレンの服を咥えた。 「結局、さ」 二人と一匹でフレンの私室へ戻りながら、ユーリがぽつり、呟く。 「何がどうあっても、変わんねぇよな、オレらって」 たとえばこんな風に突然子供に戻されたところで。 いつものようにくだらないことで喧嘩をして、笑い合って。 そして必ず手を伸ばす先には半身がいる。 「そう、だね」 それが良いことなのか、悪いことなのか。 二人には判断できないままでいた。 ブラウザバックでお戻りください。 2010.07.05
どちらを子供に戻そうか悩んだので、両方戻らせました。 性格も子供にした方が良かったのかしら、と。 リクエスト、ありがとうございました! |