天才型、秀才型、努力型。


(九龍:皆主)


「おれは努力型だもん」

 天才でも秀才でもなんでもなく、努力に努力を重ねなければ欲しいものすら得られない。

「甲ちゃんはあれだよね、」
 無力型。

 にっこりと笑って言ってみればぺちん、と額を叩かれた。文句があるなら言葉にすればいいと思うのだが、基本的に叩くか殴るかで不満を現す男である。唇を尖らせて、「カレー限定努力型」と言い直してみればどうやら満足したらしい、頭を撫でられた。だからなんか言えよ、と思うがアロマパイプを咥えているため無理だと分かっている。
 もともと無気力ドライがデフォルトであるような男を相手に、惚れた腫れたと騒いでいるのだ。言葉が返ってこないことくらいでめげてなどいられない。反応があるだけでも嬉しいくらいだ。
 パイプを指で捕え口から離したかと思えばくわ、とあくびを一つ。そして再び咥えるのだからこちらと会話をしようという意思がまるでないらしい。
 ぷくぅと頬を膨らませてその細い腰に抱きついた。怒られることを覚悟して腹へぐりぐりと額を押し付ければ、意外にもぽん、と後頭部を優しく撫でられる。

「一応言っとくがな、カレーにだけ努力してるってわけでもないぞ」

 自由奔放な宝探し屋を捕えておくためにこれでも努力しているのだ、と落ち着いた声音で紡がれる言葉。
 その必要がないほど葉佩はもうこの男にに捕らわれているというのに、何度好きだと直接伝えても、身体を繋げる行為を繰り返したとしても、どうにも伝わっていない感がある。それはこの男のせいなのか、あるいは葉佩自身が問題なのか。
 本当にどれだけ努力を重ねれば、この男の心をまるごと手に入れることができるというのだろう。




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2012.04.04
















微妙にすれ違ったままのふたり。

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