ボケても一緒に居るから。


(TOV:レイカロ)


 だって絶対おっさんの方が先に死んじゃうしー、とだらしなく語尾を伸ばしているのは、八割がたわざとだ。こんなこと真面目な顔をして真面目な声音で言えるはずがない。いや、たとえどのような雰囲気で口にしたところで、優しい少年は眉を顰めるだろう。だから、何の警戒も抱いていないような安心した顔をして眠っている人物を見下ろし、口にする本音。
 どう考えたって何の実りももたらさない関係だ。本当は関係として成り立たせること自体良くないことだと思う。
 それがどうしてこんなことに、と思わなくない。しかしほだされたわけでは決してない、確かに真摯に求めてくれる少年の視線と暖かな手は心地よく、くらりと来たけれど。
 最終的に手を取ったのはレイヴンの意志。少年の柔らかな腕を奪い取り、細い身体をかき抱いた、彼が欲しいとそう思ったから。
 この命尽きるまで、とは言わない。せめてカロルがこちらを見てくれている間はできる限り心を捧げよう、とそう思う。

「どっちが先だろうねぇ」

 カロルの視線が他の誰かを捕えるのと、この継ぎはぎだらけの命が尽きるのと。
 できれば後者であってもらいたいと思う程度には、この一生懸命な少年に参っている。だからこそ自分で口にするのだ。
 頭の悪い大人だ、と思わなくもないけれど。

「大丈夫、ボク、レイヴンがボケても一緒に居るから!」

 喜んでいいのか、傷つくべきなのか分からない言葉を笑顔で繰り出されては、参らないでいられるはずがない。




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2012.03.20
















めろめろなおっさん、の図。

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