人目を避けながらしたこと。 (青エク:雪燐) 以前は養父や修道院で共に過ごしていた修道士たちの目を忍んで。 今は祓魔塾の講師や塾生、あるいは学園の一般生徒の目を盗んで。 一見あまり仲のよくなさそうな双子の兄弟は、その体温を共有する。 僅かに触れる指先だとか、預けた背中だとか、絡めた腕だとか、重ねた唇だとか、誰の目も届かない場所、その瞬間を見つけては兄弟へ向けて手を伸ばす。 偶然顔を合わせたため中庭で揃って弁当を広げ、それぞれの教室へ戻る前に木の幹に隠れてそっと重ねる唇。キスをしようだとか、したいだとか、そんな会話は一切なかった。ただ伸びてきた雪男の腕に捕えられ、ふわりと唇をかすめ取られる。突然どうしたのだ、とは思わない。それがごく当たり前のことであるかのように受け止め、戻るよ、と促される言葉におう、と頷く。校舎内へ戻る前に今度は燐の方から伸びた手。指を絡めてきゅ、と手を握ったあとすぐに離れていく。 「午後の授業、寝ちゃだめだよ」 「そりゃムズカシイ相談だな」 ひらひらと手を振ってそれぞれの教室へ。 人目を避けた僅かな触れ合い、視線が気になるのならば部屋へ戻ってから存分に行えばいいと分かってはいる。それはそれで互いに満足する程度にはべったりと側にいるのだけれど。 どうしてそのようなことをしてしまうのか、実際のところ当人たちにもうまく理解できていない。ただ、求めてしまう。それぞれ別個の存在で、当然ずっと側に居続けることはできない。だからこそ、求めてしまうのかもしれない。側にない相手に疑問を抱き、腕が伸びてしまうのかもしれない。 双子の兄弟は人目を避けて、互いの間に横たわる距離を零に近づけようとしている。 ブラウザバックでお戻りください。 2012.03.28
無意識にいちゃつく。 |