拙い言葉で綴る毎日はそれでも自分達にとって確かな人生の一部で。 (幻水TK:主リウ) 団の趣旨に賛同し集まってくるひとたちは多種多様で、その経歴、立場などに尻ごみをしているのか、と問われたらそうではないけれど、と答える。余所は余所うちはうち、と母親代わりであった人物に言い含められて育ってきたせいか、相手を純粋にすごいと思うことはあれど、自分もそうなりたい、そうでありたいと思うことは少ない。「あんた、自分しか見てないもんね」とは兄弟のように育ってきた少女の言葉で否定はしない。 自分は自分、他人は他人。 羨んでも現時点で得ていない力はどうしようもできず、欲しいと思うなら手に入れられるよう努力した方が何倍も有意義だ。 そう考えてはいるが、さすがに一国を纏めるひとびとと顔を合わせ、話をしていると自分の器の小ささを痛感することもしばしばで、もっとでっかくなりてぇなぁ、とそう思う。そんな風に考えてしまう切っ掛けは、友人が実は人間とは異なる種族の出身であり、しかも一族を纏める長の位置に収まってしまった事実を目の当たりにしたことかもしれない。 あれで彼の何かが決定的に変わってしまったというつもりはないが、責任か覚悟、あるいはその両方をしっかりと心に据えた横顔は以前よりもずっと大人びて見えた。 これからはおそらく、今までのように力任せに彼を振り回すことはできないだろう。そうではなく、根本的に心の奥から支えることができるような、そんな人間にならなければだめだ、そう思った。 四階の団長部屋の窓から、ぼんやりと地上を見下ろしながら思わず呟いた言葉。耳にしていたのは、隣に立って同じように外を眺めていた口数の少ない幼馴染。らしくない、と笑われるかと思えば、彼はいつものように表情を変えることなく「これからなればいい」と静かにそう言ってくれた。 「……なれっかな」 「だから、なればいい」 なるために努力をすればいい。 幸いなことに、自分たちはまだ世間一般から見れば子供と呼ばれる部類に入る年齢だ。無限ではないとはいえ、先に広がる時間はまだもう少し長くて、その間に出来うる限り足掻いてみてから後悔なりなんなりをすればいいのかもしれない。 そんなことを思いながら眼下に若草色の頭を発見し、「おーい、リウー」と思考の発端となった参謀の名を呼んだ。 見上げてにへら、と笑う顔は以前となんら変わりはない。ひらひらと振って寄越される手に答えながら、「好きだぞー」と何の変哲もない、けれど事実しか語っていない言葉を繰り出せば、顔を赤くした参謀に怒られてしまった。 ブラウザバックでお戻りください。 2012.04.03
たまには青春っぽく。 たまには。 リクエスト、ありがとうございました! |