空っぽの空 「大人になれば夢なんて語ってられなくなるものさ」 訳知り顔でそう言ったのは誰だったのでしょうか。既に私にはその姿さえ曖昧で、そもそも記憶にとどめておくべき対象だったのかどうかも疑問です。 抱いていた夢も希望も無くし、ただただ現実を生きるのに精一杯、それが大人になることだと、そう続けられたような、勝手に自分が文脈を補完しただけのような。 ただもともと夢などというものを持たぬ私には大人になることとならないことの違いが結局は理解できないままで、私以外の人々は小さなころは夢だとか希望だとかそういった輝かしい星のようなものを胸に抱いているのだろうと漠然と想像しただけでした。 つまりは私の空は始めから空っぽ。 夢だとか希望だとか、大切な人だとか愛している人だとか、そんな姿がすべておぼろげにしか見えないのです。 つまりは私には始めから何かが足りない。 望んで生まれてきたわけでもないのに、押し付けられた世界の酷さに軽くめまいを覚えたのはこの頃でした。 いろいろな不都合やら圧迫感やらを無視して耐えてきましたが、結局私にはここ以外の世界など始めから存在していなかったわけで。 つまりは私には始めから何かが足りない、逃げることも適わずその欠落をまざまざと感じる苦しみなど貴方には理解できないでしょう。 そうたとえていうならば、荒野の真ん中で酷い喉の渇きを覚えているような。 ネジの足りない人形が崩れてガラクタにならないはずもなく、もしそうなったならばできれば貴方の手で、どこか遠くへ捨て去って欲しいと、ただそう願うばかりです。 ブラウザバックでお戻りください。 2006.02.16
クク主ソングではなくエイト単品。 だからどうしてマイナな方へマイナな方へ走るのかと。 |