愛の力 ゼシカが目覚めると、隣のベッドで休んでいたはずのリーダの姿が見当たらなかった。窓の外を見るとそろそろ起きる時間。先に起床して身支度でも整えているのだろうか、そう思い上半身を起こして軽く伸びをする。顔でも洗ってさっぱりしようかしら、とベッドから足を下ろそうとしたところでふと、洗面所からガラガラガラ、とうがいをするような音が聞こえてきた。やはり彼は先に起きていたらしい。 がちゃり、と洗面所から出てきた姿を見て、「おはよう、エイト」と声をかける。するとどうだろう、いつもなら多少寝ぼけていても「おはよう」と返ってくるのに、今日の彼は無言で困ったように首を傾げるだけだった。 「……エイト?」 不思議に思い名を呼ぶと、彼は更に困ったような顔をして首を振る。そして自分の喉を押さえると、口の前で指を重ねて小さなバツを作った。 「もしかして声、出ないの?」 ゼシカの言葉にエイトは、そう! とでも言いたげに彼女を指差して大きく頷く。彼は既にその事実を受け止めているようだったが、言われたゼシカのほうが軽くパニックを起こしてしまった。 「え? え? な、何で? 何かの病気? 喉、痛いの?」 尋ねられてもエイトは声が出ないので答えられない。苦笑したまま彼は、サイドテーブルの引き出しに備え付けられていたメモ帳を取り出した。 『かぜかも』 「熱は? 寒気がするとか、ふらふらするとかは?」 風邪、という言葉にゼシカがエイトの額へと手を伸ばす。寒気もしないしふらふらもしない、という意味をこめてエイトは軽く首を横に振った。 「熱も、ないみたいね。他にどこか辛いところとか、ない?」 彼女の問いにエイトはもう一度首を振った。 『こえ いがいは へいき』 あまり上手いとはいえない字で書き出された言葉に、ゼシカは「変ね」と首を傾げる。風邪ならば声が出なくなるだけでなく、他の症状も現れるはずだ。喉にだけくる風邪ということだろうか。あるいは何か別の病気か。 「エイト、今日は王さまにお休みを貰って、お医者さまに行きましょう?」 エイトを心配し、ゼシカがそう提案するも彼は緩く首を振る。 『だいじょーぶ たたかえる』 「でも魔法は使えないでしょう?」 『ヤリがある かいふくは バカリスマがやる』 「ええ、それでも大丈夫だとは思うわよ。でもね、いつも使えるものが使えないって案外大変なの」 私、王さまに言ってくるから。 そう言ってゼシカは部屋を後にした。声が出ないため彼女を引き止めることもできず、エイトはとりあえずベッドに腰掛けて帰りを待つ。確かに彼女の言うことは正論で、咄嗟のときに魔法を放たずにいられるか、と言われたら首を傾げてしまう。それで自分ひとりが傷つくのなら構わないが、この旅には大事な仲間たちがいるのだ。自分の体調でパーティ全体の予定を狂わすことは心苦しかったが、命に関わる状況で判断を誤るよりはマシかもしれない。 そんなことを思いながらぼんやりとトーポを撫でていると、突然部屋の扉が開けられ、ヤンガスが飛び込んできた。 「あ、あ、あ、兄貴っ! 声! お声が出なくなったってっ!」 本当でげすかっ!! と凄い剣幕で押し寄せてくる彼に苦笑を浮かべながらも頷いて肯定する。おそらくゼシカが隣で休んでいた二人へ伝えたのだろう。 『だいじょうぶ』 それだけ書いたメモ帳をヤンガスへ手渡す。 「で、でも兄貴! 声が出ないなんて、か、風邪かなにかでげすか? 早く医者、行かねえと、何か変な病気だったら!」 「だから今ゼシカがトロデ王のところへ行ってるんだろ。トロデ王だからきちんと休みくれるさ。それよりも宿の人間にでも聞いて、医者の場所、見つけといた方が良くねえか?」 ヤンガスの後ろからククールが冷静にそう声をかける。その言葉にヤンガスが「その通りだ!」と立ち上がり、転がり落ちんばかりの勢いで階段を下りていった。 「エイト、口開けて」 そんなヤンガスの後姿を見送った後、隣に座ったククールは真正面からエイトを見て言った。 「ほら、あーん」 言われるとおり大人しく口を開ける。 「別に喉が腫れてるとか、そういうわけじゃねえみたいだけどなぁ。扁桃腺も腫れてないし。セキが酷かったとか、そういうこともないよな?」 僧侶だけあり、ほんの少しではあるが医学の知識もあるらしい。舌や喉をみたあと、ゼシカと同じように額へ手をあて、首筋を撫でて腫れを確認する。 「熱もない。寒気とか吐き気は?」 ふるふると首を振ると、「病気、って感じには見えないけど、呪いってことも考えられないし」とククールが呟いた。確かに、何故かは分からないがエイトは呪いを跳ね除ける。ゼシカ曰く「呪われてるって気づいてないだけじゃない?」とのことで。 『わるい めーわく かける』 走り書きされたその言葉にククールは苦笑を浮かべ、くしゃりとエイトの頭を撫でる。 「お前、口開かないと可愛いよな」 言われた言葉に思わずメモ帳を投げつけた。「その元気があれば大丈夫だ」と、ククールは笑ってメモ帳を受け止める。 どたどたと階段を駆け上ってくる音が聞こえ、バタン、と開かれる扉。予想通り飛び込んできたのはヤンガスで、「町の北通りに医者がいるらしいでげすよ!」と報告。いつの間に戻ってきていたのか、その後ろからゼシカが「ゆっくり休みなさい、ってよ」と休暇をもぎ取ってきたことを伝えた。 「トロデ王のところへ後で顔を見せなさい。それより先にお医者さまね」 「さっそく行きやしょう、兄貴!」 そう言ってエイトの腕を引いたヤンガスをゼシカが止める。 「全員で行っても仕方ないでしょ。エイトも子供じゃないんだし」 「じゃあ、アッシが付き添いを」 「ヤンガスには悪いけど、多少知識のあるククールが行った方がいいと思うわ」 頼めるかしら、とゼシカに首を傾げられ、ククールは「お任せあれ」と立ち上がる。 『せっかく やすみだし ゆっくり してて』 ヤンガスとゼシカへメモでそう伝え、出かける準備をしてから二人は宿を後にした。 「お前がずっと黙ってるってのもなんか、変な感じだな」 宿の女将から詳しい医者の場所を聞き、揃って町の北通りへ向かう。並んで歩きながらククールはそう言った。 いつもならわざわざ隣へ視線を向けずとも何らかの言葉が返ってき、単純な彼は声音だけでその気分が分かるものなのだが、今日は顔をうかがわなければ彼が何を考えているのかが分からない。 「いつもうるさいくらいだからなぁ」 くつくつと喉の奥で笑いながらつむがれた言葉に、エイトはむっと頬を膨らませる。 『わるかったな うるさくて』 「いやいや、悪くないですよ? 全然、全く」 『その いいかたが むかつく』 「何でよ。エイトくんのお話が聞けて嬉しいって言ってんのに」 耳元で囁かれ、エイトはとりあえずククールの脛を蹴りつける。大げさに痛がるククールを連れてようやくたどり着いた医者の下、エイトに下された診断は「原因不明」であった。 「喉、声を出す器官周辺の筋肉が疲れているとき、急に声が出なくなったりすることもありますけれどね。診ただけではすぐに分からないこともあるんですよ。とりあえず炎症を抑える薬をお渡ししておきますから、ニ、三日しても声が戻らないようならもう一度、いらしてください」 ということだった。 まあそんなところだろうな、とククールは思う。とりあえず無理に声を出そうとしないこと、できるだけゆっくりと体を休めること、といくつかの注意と共に薬を受け取って、二人は医者のもとを後にする。 「医者に行ったからって、すぐすぐ治るわけじゃねーの。残念そうな顔、すんなって」 何処となく不満げな表情のエイトへ、ククールは呆れたようにそう言った。エイトだってすぐに治るとは思っていなかったが、それでも何らかの原因はつかめると思っていたのだ。それが分からないことには対処法も分からないし、治ったとしてもその先何に注意をすればよいのかが分からないではないか。 そんなエイトをなだめるように、ククールはバンダナの上から彼の頭を軽く撫でる。 「あのな、エイト。人間の体ってのは意外に繊細にできてるもんなんだ。複雑なつくりのものが上手く組み合わさってオレらってのは生きてるんだよ。だからちょっとした疲れやストレスでどこかおかしくなったりする。良い機会だし、お前はもう少し自分の体を労わることを知った方が良いと思うぞ」 側で見ていて気づいたが、エイトには自分自身を非常に軽く見る傾向がある。怪我を厭わず治療も適当、睡眠も食事ももともと欲求が少ないのかなおざりだし、疲労やストレスなど自分とは関係ないものと思っているように見える。こんな彼が今日まで生きてこれたのは周囲の人間が彼を気にしているからだろう。昔はよく分からないが、兵士というからには規則正しい生活を義務付けられていたはずだ。それに従ってさえいればエイトは生きてこれた。旅に出てからはトロデ王とミーティア姫のために適度の休憩を取るようになったのだろうし、すぐにヤンガスが仲間になったという話だから、兄貴思いの彼の言葉に従ってエイトも休んでいたのだろう。 もし彼一人だったら、数日と持たないかもしれない。 もちろんそれがククールの思い違いということもありうる。寧ろそうであって欲しいと思う。いくらエイトでも一人で生きていける力くらいはあるだろう、と。 『でも いままで やってこれたし』 ククールの言葉に返ってきた文字を見て、軽くため息をつく。 「今までやってこれても、これからやっていけるとは限らないだろ」 『がんばる』 「頑張るためにはゆっくり休まないとダメでしょ、ってオレは言ってんだよ」 子供に言い聞かせるような口調だと、言っていて自分でも思った。 分かった? と問うと、彼はまだ微妙に複雑そうな顔をしながらも渋々と頷く。そんな彼の頭を、いい子いい子、とぐりぐり撫でて、ククールは笑みを浮かべた。 「先にトロデ王のところへ行っとくか?」 ククールの問いかけにエイトはこくり、と首を縦に振った。 町の外で待機しているトロデ王とミーティア姫へ昼食と、そのほかの娯楽品を買い求め、その足で二人の元へと向かう。とりあえず心配はないこと、もしかしたら明日も声が出ないままかもしれないことをエイトに代わってククールが説明する。 「そもそも病気ならもっと腫れたり、赤くなったりするはずなんだ。それが見えないってことは疲労とか、精神的なものの可能性が高い。できればニ、三日ゆっくり休ませた方がいいとは思う」 ククールの言葉にトロデ王は鷹揚に頷いた。そして自分の元へエイトを呼び寄せる。 「お主も疲れておるのじゃろう。わしらのことはしばし忘れ、ゆっくりと体を休めるが良い」 仕える君主にそういわれ、エイトは申し訳なさそうに頭を下げるばかりだ。 「そうじゃの、悪いと思うのなら、せめて元気な顔を見せに来るが良い。わしもミーティアもそれだけで十分じゃわい」 のぅミーティア、と父王に同意を求められ、白馬の姫はゆっくりと頷いた。心配そうに擦り寄ってくるミーティア姫へ笑みを向けて、エイトはもう一度トロデ王へ頭を下げる。 「早く治そうとは思わぬ方がよいじゃろう。エイト、焦るでないぞ。急いて上手くいくことなどありゃせんのじゃ」 普段は横柄な王だと思っていたが、さすが一国の主、しっかりと物事を見極める力はあるらしい。こういう王だからこそ、エイトも仕えているのかもしれない。「しっかりエイトを休ませるように」という命を承ったククールも頷いて応え、二人は町へと戻った。 起床し声が出ないことに気が付いたとき、エイトは高々声が出ない程度だとそう思っていた。魔法が使えないのは困るが、それ以外に困ることはないだろう、と。 しかしどうやらそれは間違いだったらしい。声が出ないと伝えたいことも伝えられない。至極当たり前の事実ではあるが、エイトは自分がその立場に追い込まれようやく気づいた。言葉が全てだとは思っていないし、声で全てを伝えられるとも思っていないが、それでも口にしないことには思っていることの一割も伝えられないのだ。 焦るな、と言われたが、どうやらそれは無理のようだ。普段は意識していなかったが、話したいこと、伝えたいことが人間には意外に多い。 治ったらまず陛下へ謝罪を述べに行こう。姫殿下にも「ご心配をおかけしました、もう大丈夫です」と伝えたい。仲間たちにも「迷惑かけて悪かった」といわなければ。 色々と考えていたエイトの耳へ、不意にククールの言葉が飛び込んでくる。 「宿に戻る前にちょっと遊んでこーぜ」 そう言って彼が指した先は町の商店街。食事に関してはあまり硬いものを飲み込まないように、という程度の注意だけだったので、ほとんどのものなら大丈夫だろう。ゆっくりと体を休めるなら甘いものを摂取するに限る。 「何か食いたいもの、あるか?」 その問いに間髪いれずメモ用紙いっぱいに書かれた『あめ』という言葉が返ってきた。 「はいはい、それは買って帰るから宿で食え。ほら、折角色んな店あるんだし、アイスとかは?」 『ばにら』 「三段まで重ねられるぞ?」 少しだけ考えて『ちょこ きゃらめる』と希望を伝える。メモ帳を覗き込んで「了解」と答えると、ククールはエイトをその場に残しアイスクリームを売る屋台の方へと歩いていった。 そんな彼の後姿を見ながら、「悪かった」と謝るよりまず先に「ありがとう」と礼を言いたいな、とエイトは思った。きっとその方が喜ばれるに違いない。そう考え、ふと思う。話すという行為には、自分の気持ちを伝えたいということと同じくらい、自分の言葉で相手を喜ばせてあげたい、という感情が含まれているのだろう。相手が恋人だろうが仲間だろうが、たとえ店先で会話を交わすだけの売り子だろうが、不機嫌そうな顔を見るより笑顔を見ていたい。だから言葉を口にする。 つらつらとそんなことを考えていると、不意にエイトの前に影が落ちた。ククールが戻ってきたのだろうか、と思い顔を上げるとそこには見知らぬ男が三人。 「なぁ、兄ちゃん。ちょっと話があるんだけど」 「大事な相談なんだけどよ」 「一緒に来てくれねえか?」 にやにやと下卑た笑みを浮かべたままそう言った男の一人が、無遠慮にエイトの腕を掴む。しばらく考え、ようやくこれがカツアゲであることに気が付く。まさか白昼堂々こんな馬鹿なことをしてくる奴らがいるとは思っておらず、エイトは驚いて目を丸くした。 それが怯えにでも見えたのかもしれない。男は無理やりエイトを引きずって行こうとする。 ライデイン、って俺、使えねーじゃん! いつもならこういうときは軽くライデインを食らわせようとし、それをククールに止められ、二人で適当に相手を伸して逃げていた。しかし今魔法は使えない。ククールも側にいない。 名を呼ぶか、魔力を高めるかすれば気づいてもらえるだろうが、そのどちらも今のエイトにはできないのだ。 仕方ない、肉弾戦に訴えるか、とエイトは自分の腕を掴む男の手を振り払う。 まさか抵抗されるとは思ってもいなかったのだろう、男が驚いたようにエイトを見た後すぐに表情を険しくした。 「大人しくしといた方がいいと思うぜぇ?」 そう言ってもう一度手を伸ばしてきたので、ぱしん、と払いのける。別方向から伸ばされたもう一人の男の手を身を屈めて避け、するり、と男たちの包囲から抜け出した。ゼシカやククールほどではないが、エイトも素早いほうである。三人の男たちの背後へ回り込み、どうせならこのまま逃げてしまおうか、とも思ったがククールがいるのでそれもできない、と考え直す。 一瞬視界からエイトを見失った男たちは、すぐに振り返って眉を吊り上げた。 「うろちょろしやがって!」 繰り出された拳は魔物相手に旅を続けているエイトから見れば、子供のお遊び程度のものだった。一度姿勢を低くするととん、と地面を蹴って男の懐に飛び込む。そのまま左腕で拳を交わすと、男のみぞおちへ膝蹴りを入れた。手加減はしたつもりだったのだが、どさり、と崩れ落ちた男はしばらく動けないだろう。左右の男の怒気が膨れたのを感じる。まるで計ったかのように同時に伸ばされた腕をバックステップで交わしたところで、不意にぐい、と後ろへ体を引かれた。 もしかしてもう一人仲間がいたのだろうか。 一瞬ひやり、としたがエイトを抱きこんだのは赤い服で、覚えのある体温に安堵する。 庇うようにエイトを背後へ押しやり、前に出たククールはまず左側の男をターゲットと決めたようで、いまだ伸ばされたままだった腕を捕らえそのまま鳩尾へ拳を突き上げる。ぐらり、と前へ傾き無防備となった後頭部へ軽く手刀を入れて男を落とす。まるで踊っているかのように軽やかにターンして残りの男の方を見ると、にやり、と笑って軽く指を立てた。 挑発しているのだ。 なんてアホな男だ、とそれを見ていたエイトは思ったが、ククールに言えば「お前には負ける」と返ってくるだろう。 こんな往来で犯罪行為をなそうとしていたくらいだから男の脳細胞は単純らしく、あっさりとククールの挑発に乗り唸り声を上げて突進してきた。 ひらり、と舞う赤いマントがまるで牛を交わす闘牛士の布のようで、その優雅さに見入っている間に最後の男も地面へ倒れ付していた。 「うちの子に手ぇ出したらただじゃおかねぇぞ?」 あまりカッコよくない勝利台詞を吐いて、ククールはようやくエイトの元へと戻ってきた。顔を覗き込むように見て「怪我は?」と尋ねてくる。 ふるふると首を振ると、「そ、ならいい」とそっけなく流す。そしてエイトへ背を向けてもう一度アイスクリーム店へと向かった。どうやらまだアイスを購入さえしていなかったらしい。 っていうか、よく助けに来たよな。 アイスクリーム店からこの場所まで多少距離がある。エイトが一人目の男を蹴り倒したあたりで周囲が騒がしくなったのでそれで気が付いた、ということも考えられるが、それならばあのタイミングで背後まで来ているのはおかしいだろう。三人の男に取り囲まれたそのあたりで気づいていたのだと思う。 ちょうどそのときアイスクリームを買い終え、エイトの元へ戻ろうとしていたのならそれも分かるが、これから買うらしいところをみるとそれも違うようだ。 「はい、どーぞ」 手渡されたアイスを舐めながら、思わずじっとククールを見てしまう。エイトからの視線をどう取ったのか、「オレはお前から一口貰うよ」とククールが答えた。 『よく きづいたな』 アイスクリームをククールへ押し付け、エイトは取り出したメモ帳へそう走り書く。意味が分からないらしく首を傾げたククールへ、エイトは背後で伸びている男たちへ視線を向けて合図を送った。それに「ああ」と彼は頷く。 『おれ こえでない まほう つかえない きづいて もらえないと おもった』 エイトへアイスを返しながら、ククールはにやり、と先ほど男を挑発したときと同じような笑みを浮かべて口を開いた。 「そりゃもちろん、あれだろ」 愛の力。 ブラウザバックでお戻りください。 2006.09.10
二日後に、エイトさんの声は無事戻ったそうです。
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