エイトくんと聖地ゴルド 「ここで一泊しよう」 「却下。ここの宿屋、ものすごく高いの」 「でも! どうせ明日もゴールドマン狩りするし! お金貯めたいし! ククールだっていちいちルーラするの、めんどいだろ?」 「いんや、別に。消費MPも少ないからな。とりあえずサザンビークでいいか」 「なんでだよ、いいじゃん、一泊くらい! 200Gなんて、ゴールドマン一匹倒せばおつりがくるよ!」 「兄貴、何でそんなにここに泊まりたいんでがすか?」 「ヤンガス、聞く必要ないわよ」 「どうせあれだろ、ハンモックで寝てみたいとか、そんな理由だ」 魔力を失ってしまった魔法の鏡を太陽の鏡に戻すには、海竜という魔物の魔法で魔力を入れたら良いのだそうである。その魔物がどこにいるのか、場所のヒントを聞くには聞いたが、「えー、エイトくん、わっかんなーい、ていうかー、こっちにいる気がするかもしれないし、いないかもしれないしー」というリーダの指示で船を進め、なぜか聖地ゴルドのある大陸にたどり着いた。たぶんサザンビークのバザーで良い武器防具がたくさんあるにも関わらず金欠で何も買えなかったため、金策のためにやってきたのだと思う。 ここへ至るまで、今まで真面目に行っていなかった闇商人との取引をこなし、ついでにアイテム目当てでモリーの格闘場にも挑戦していた。初期モンスタで勝てるとは思っていないため、ひとまずサザンビークの東でダンビラムーチョのだんきちを、マイエラ修道院の北でゴーレムのゴレムスを、トラペッタの北西でバトルレックスのドランゴをスカウトしての参戦だ。ランクCの決勝戦で破れてしまったが、上々の駆け出しだと思う。 そうして金をため、アイテムを集め、錬金を駆使しながら装備を整えるのは、無事に太陽の鏡を手に入れた場合、そのまま闇の遺跡へと向かうことになるからだ。 今まで追いかけてきていたドルマゲスが、その遺跡にいる。 あの道化師と戦うことになる。 それが分かっているのだから、可能な限り最高の状態で挑みたいのだ。 だから今日も一行は、元気に砂地を駆け回り、きんきらきんの魔物を追いかけていた。 「エイトの岩石落としのメカニズムが全然分かんねーんだけど」 「そのいち、地球を殴ります!」 「おう……」 「そのにっ、岩石を持ち上げます!」 「だからどっから取り出したそれ」 「そのさん、どっせーい!」 「……何で石とか岩は投げられるのに、ブーメランは投げられないんだろうな、お前」 ブラウザバックでお戻りください。 2016.07.19
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