エイトくん闇の遺跡へ 「エイト、うしろ、うしろ! ぅわあっ!?」 「あ、悪ぃ、うしろにモンスタでもいるのかと思ってつい攻撃しちゃったてへぺろ」 「……真顔でオレに向かって右ストレート繰り出しておいて、何が『てへぺろ』だ」 「お前がくだらねぇこと言うからだろ!?」 「珍しく緊張してるっぽい仲間をリラックスさせてやろうっていう、ククールさんの優しいお茶目心を理解しろよ!」 遺跡を進むなか、魔物からここがどのような場所なのか、少しだけ聞くことができた。「ラプソーン」という名前は初めて耳にするものだ。なぜその遺跡にドルマゲスがやってきたのか、どういう関係があるのか。道化師を倒せば明らかになるのだろうか。 「ドルマゲスを挑発して攻撃するようしむけるとか、お嬢様の発想じゃねぇでがすよ」 「そう? サーベルト兄さんとはそういう話をよくしてたけど」 「うわ、待って。俺のなかのきれいなサーベルト兄さん像が崩れる!」 「あんたは私の兄さんにどんなイメージ抱いてるのよ」 この遺跡の奥に、ドルマゲスがいる。 そのはずなのに、四人の交わす会話は普段と変わらない。 意識してそうなるようにしているのか、あるいは自分たちだから仕方がないと思うべきなのか。 「私はむしろ、ククールが騎士としての自覚を持ってたことに驚いたわ」 「ま、一応これでも聖堂騎士団員だからな。無抵抗の相手に手を出す趣味はねぇよ」 「シャクに障るがアッシもそれには賛成するでがす。ひととしてやっちゃならねぇこともある」 「ああでも、ベッドの上で無抵抗の相手だったら、喜んで手を出すけどな」 「お前は騎士としてだけじゃなくて、僧侶としての自覚も持てよ」 相対した仇敵、けれど四人が取る行動はいつも通り。 「ゼシカ、優先はピオリム、フバーハ、バイキルトの順な。いけそうならマジックバリアも頼む。ククールも、可能な限りスクルト重ねろ、ただメインは回復で。ヤンガスはひたすら殴れ、うちのダメージソースはヤンガスだからな」 リーダの指示に従い、強力な攻撃や魔術に耐えながら、ようやくドルマゲスを撃破する。途中、エイトが茨の呪いをはねのけなければ、全員がトロデーンのひとたちと同じ末路を辿っていただろう。 魔物に近い姿に変化してしまっていたが、あれは杖から魔力でも得ていたのかもしれない。 「っ、あー…………」 「か、勝った、の……?」 「オレもうMPほとんど残ってねぇよ……」 「死ぬかと思ったでげす……」 「やっぱちょいレベル低かったな。全員30越えで来ればよかった」 「せめてオレがベホマラー覚えてからのほうが良かったかもな」 さらさらと崩れるドルマゲスを見やりながら、疲労を伴った会話をしているところで、トロデ王が姿を現した。元凶を倒したはずなのに、王の呪いは(そして姫の呪いも)解けている様子がない。 どういうことなのか気にはなるが、今は考えるだけの気力もなく、達成感を背負って、一旦サザンビークへ戻ることにした。 ブラウザバックでお戻りください。 2016.07.19
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