エイトくんとハワードさま 「システムの壁が、分厚い……!」 「エイト、泣くな。お前はよく頑張ったよ」 「あのおっさん、ほんと食えねぇやろうでがすな」 仕事をさせてやる、と上から目線のおっさんから言われ、何度も断ったがまったく話が進まなかった。こちらは早くゼシカの行方を追いかけたいというのに、どうしておっさんのためにクランだかクラウンだとかいう宝石を探しに行かなければならないのか。 くそじじぃ、と地団太を踏んで悔しがる子どもを、強面の弟分が懸命に宥めている。ものは考えようだ、と思案顔の僧侶がリーダに言った。 「ゼシカはあのおっさんを狙ってる。つまり、あいつのそばにいりゃあ、そのうちまた会えるんだ」 「だから! 離れたくなかったの!」 「分かってるって。ただ、一番そばにいるには信用を得たほうがいいだろ」 「そうでがすよ、兄貴。大丈夫、アッシら三人で頑張れば、すぐ見つけて戻って来られるでげす」 ふたりから代わる代わるに説得され、しばらく唸っていたエイトは、喚いた分スッキリしたのだろう。最短で終わらすぞ、と迷うことなくクランバートル家へ向かい石のつるぎを得て、未だ塔を作り続けているという彫刻家の元へと向かった。 ブラウザバックでお戻りください。 2016.07.19
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