エイトくんと闇のレティシア 「水と炎は色を持ってるんだよな」 けれど草や木は色を持っていない。一体何が基準で色を持つものと、持たざるものが別れているのだろう。村に灯されている明かりの火や流れる水を眺めながらククールはひとり、首を傾げている。まだ直接見てはいないが、村人たちの話からすれば、レティスも色を持つものだという。 「光の世界に属するものは色を持つんだよな」 自分たちも色を持つ側だ。それは光の世界からやってきた存在だから。そう考えると、炎や水ももともとは光の世界からやってきたもの、と考えてよいのだろうか。 四大元素は光の世界に属するものと考えるのはどうだろう。風はもともと目に見えないものだ、色がある、ないについて論ずることはできない。あとは土。大地に色がついていればその推測もあながち間違いではなかったと思うが、残念ながら足元に広がるものは白黒の大地。 ますますもって、炎と水に色がついている理由が分からない。 うーん、と唸る僧侶の背中には、「目がおかしくなりそう」という理由で、少年リーダがべったりとへばりついていた。そうしていると彼の視界には僧侶のマントしか入らないそうで、白黒の世界を見ているよりは落ち着くのだとか。 その姿勢のままずっと僧侶のひとりごとを聞いていた少年は、「でもさっき、」ともごもごとくぐもった声を発する。 「金のスライムは色ついてたぞ」 あと宝箱も、と続ける彼の言葉は事実であり、「そこでしゃべんな」と文句を返しつつそうなんだよなぁ、とククールは相づちを打った。 「金スライムと宝箱はやっぱり光の世界のものって考えるべきじゃねぇかと思う」 「……誰がこっちに持って来たんだよ」 「そりゃあ……プログラム弄れる神様だろ」 ククールの答えに、「じゃあもう全部システムの都合って考えとけよ」とエイトがどうでも良さそうに吐き捨てた。 ブラウザバックでお戻りください。 2016.07.19
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