エイトくんと神鳥の魂


 助けてやれなくてごめんな、と呟く少年の言葉に、生まれることのできなかった子どもがいいえ、と答える。

「神様がくださった命です、無意味なものにしては神様に、そして母に申し訳ありません」

 神鳥レティスもかなりの人格者(鳥であるし神であるため、その表現が正しいかは分からないけれど)であったが、やはり彼女の子も高い知能と徳を備えているようだ。
 確かに実体を持てなかったことは悲しく、母にも申し訳ないと思う。けれど、嘆くだけではなくそこに意味を見いださなければ、本当に無意味な存在となってしまうだろう、と。

「無意味なことなど、世界にはないのです」

 だから皆さんのお役に立ててうれしいんですよ、と少し弾んだように、幼い神鳥は言うのだ。彼自身がそう言うのだ、もはや謝罪をすることも失礼に当たるかもしれない。
 そっか、と鳥に姿を変える力を与えてくれるそれをそっと撫で、少年は静かに微笑む。

「だったら、」
 俺の手先が不器用なのもきっと意味があるんだろうなぁ……。

 しみじみと。
 さもいいことであるかのように。
 感慨深く告げられたところで。
 内容が内容であるだけに、神鳥の魂も答えあぐねているようすがありありと感じ取れる。
 生まれたばかりの子どもに、彼のボケは高度なのかもしれない。
 そう思ったククールは、「頭も不器用なやつはもう黙っとけ」とエイトの頭を殴って、神鳥の子どもを救い出しておいた。




ブラウザバックでお戻りください。
2016.07.19