エイトくんとパルミドへの道


 ヤンガス馴染みの町に行く途中、けったいな建物にけったいな服のおっさんがいた。

「……なあ、あのおっさん、俺の話、聞いてた?」
「風の話なら聞いてくれんじゃね?」

 正直よく分からないやり取りの末渡されたメモが三枚。どうやら場所とモンスタの特徴が書いてあるらしい。ここへ行って指定された魔物を倒して来い、という意味だろう。今すぐ行けそうな場所といえばマイエラくらいだろうが、戻るのも面倒くさいため一旦パルミドへ到着してから考えよう、という話になる。

「アスカンタとパルミドの間にこんな壁、あったかしら?」
「さあ、覚えてねぇけど、あったんじゃね? 基本ルーラあれば、あんまりフィールドうろつかないしなぁ」
「お前はさっさとルーラ覚えろよ」

 もちろん未だポイントは格闘全振りであるため、エイトにルーラは使えない。移動はすべて僧侶の魔法頼りである。

「やっぱ見たことない魔物、多いなぁ」
「アッシにゃ見覚えのあるものばっかりでがす」

 魔物たちもそれぞれ生息地域というものがあるのだ。歩を進めていくにつれ、現れるものも変化していく。この旅に出る前は、ヤンガス以外はそれぞれ決まった場所で生活をしていた。目にするものもおなじみのものたちばかりだったのだ。 

「あっ、くしざしツインズの2Pカラーがいる!」
「Bボタンで決定したんだろ」
「サラダに添えたい彩ね」
「魔物見てサラダって発想は普通出てこねぇとおもうでがすよ……」
「俺、あいつ好き。くびかりぞく」
「オノと盾持ってる魔物よね」
「兄貴、なんでまた?」
「だってあいつ、見てて楽しくね? 『うわーい、うわーい、いやっほぅ!』って感じ」
「あー……何か分からなくもねぇかも」
「お、やっと見えてきたでがすよ、パルミドの町が!」

 フィールドを駆けまわっては止まってぴょこんぴょこんと跳ね上がる。終わればまたわーっと駆け出す魔物を見つけては「いやっほぅ」とアテレコをして遊んでいるうちに、ようやく次の町にたどり着けたようだった。





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2016.07.19