エイトくんとパルミド


 パルミドは今まで訪れた町にはない独特な雰囲気のある、不思議な場所だった。

「だって全部見回らないうちに日が暮れるんだぜ」
「そりゃ単純に町が入り組んでてお前が迷ってるだけだっつの」
「なんだっけ、昼夜を逆転させる魔法、あったろ。レミラーマ?」
「それはアイテム光らせるやつ。ラナルータだな。オレらは使えねぇけど」

 そんな会話を交わしながら、埃っぽい町を巡って回る。途中井戸の中で怪しげなクラブを見つけてしまったが、写真だけ撮ってそっと後ずさりをしておいた。
 ヤンガス馴染みの情報屋には残念ながら会えなかったが、トロデ王の元へ戻ると同時にミーティア姫が連れ去られてしまう。行方をすぐに追えたことが不幸中の幸いであろう。

「こんな奴は斬り捨ててしまえいっ!」

 大切な愛娘の誘拐にかなり立腹している様子の王にそう命じられ、「陛下、申し訳ないですがそれは致しかねます」と思わず言葉が飛び出てしまった。

「なにぃっ!? わしの命令が聞けぬというのか!」

 臣下失格じゃぞ、とたしたしと地面を踏んで怒るトロデの前に跪き、「いえ、あの申し上げにくいのですが」とエイトは眉間に眉を寄せる。

「生憎と今は剣を装備しておりません。顔面をしたたかに殴って眼球を破損させるか、腹をしたたかに殴って内臓を破裂させることでしたら可能かと思いますが」
「わーっ! たんま! たんまでがす、兄貴っ! 兄貴の手を汚す必要はねぇでがすよっ!」

 ヤンガスが止めに入らなければ、彼はもしかしたら本当に実行していたかもしれない。

「ヤンガス、外出る前に『とうぞくのはな』だ!」
「兄貴、ここいらにはまだ六個、お宝がありそうなにおいがするでがすよ!」
「え、六個? っかしいな、今の時点だと取れるだけ取ったら四個残るはずなんだけどな……」
「……あのやりとり、飼い主と犬に見えるのは私だけかしらね」
「オレはポ○モンとトレーナーに見える」




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2016.07.19