エイトくんとモリーさん


「やっぱあのおっさん、俺の話、聞いてねぇよな」
「お前もひとの話聞かないほうだけど、あのとっつぁんもひでぇな」
「俺は聞こえてて無視してんだ、ガチで聞こえてないアレと一緒にすんなよ」
「おめーのほうが性質悪ぃじゃねぇか」

 赤と緑の派手な衣装に身を包んだ独特な人物の前で、エイトとククールがこそこそと話をしている。以前彼に頼まれたモンスタを倒したため、一応報告にやってきたら建物の中へと導かれたのだ。乗りかかった船とばかりについてきたはいいが、ザ・モンスターだか、モンスター・バトルロードだかの説明を熱くされてしまった。

「釈然としないけど、こういうの嫌いじゃないわ」

 まあ旅に支障出ないレベルなら付き合ってあげていいんじゃないの、とゼシカは言う。どうせあちこちをうろうろしているのだ、その途中倒したモンスタでチームを組むことができるのなら試しに挑戦してもいいだろう。

「賞品もあるっつってるでがすしな! ただでもらえるもんはもらっとくに限るでがす」

 ひとまず最初に倒した三匹でチームを組むのだが、名前が必要であるらしい。奇抜な名前でもつけるのでは、とリーダの感性を知っているほかのメンバがハラハラしていたが、彼はあっさり「おっちゃん決めてよ」とモリーに丸投げをした。
 いくつか出された候補を聞きながら、「あ、それで」と彼が指定したチーム名は『続々ゾクゾク族』。

「昔からこの名前が好きなんだよね、俺」
「……昔って、いつの昔だよ」




ブラウザバックでお戻りください。
2016.07.19