エイトくんと月影のハープ 「あ、銀さんだ!」 「だから中のひとネタやめろよ」 船を海に戻してやるためには、月影のハープとやらが必要らしい。どこかにある、とひどい放り投げ方をされたが、ククール曰く、「価値のあるものなら金持ちが持ってるだろ」とのことで。 「お金持ちの知り合いはゼシカんとこか、ここくらいしか思いあたりません」 「うちやうちの周辺にはないわよ」 「とのことなので」 やってきた町はアスカンタ。 パヴァン王に宝物庫まで案内され、空っぽのそこに一応形として驚いて見せつつ、そのまま犯人を追いかけて地下道を行く。たぶん犯人はモグラで、ハープをかき鳴らして歌っている気がするので、早く行ってモグラの子分たちを助けてやらなければならない。 聞いているだけで頭蓋骨の中身が嫌な揺れ方をするその歌声は、まさに最終兵器。いかなる魔法も呪いも敵わなさそうで、むしろこのモグラにドルマゲス戦を任せたいところだ。たとえどんな顔に変化していようと、あの道化師にだって耳はある。魔術は集中力が必要な技なのだ、こんな音を聞かされたら術をかけようにもかけられないに違いない。 このときのために、とひどいノイズのなか、拳を振り上げて少年リーダが何やら叫んでいるようだった。 「エイトくんも、歌って対抗、するのです!」 フラワーゾンビさんと練習した必殺の歌をお見舞いするのです! なるほど、トロデーン城で赤いわかめと歌を歌っていたのはこのときのための伏線だったのか、と納得しかけ、なんてくだらない伏線だ、と肩を落とす。 「そもそも必殺って時点で歌としては何かおかしいからね」 ゼシカの冷静なツッコミは、当然エイトの耳には届いていなかった。 「武器なしでも、仲間のレベルが高いとどうとでもなるもんだな」 「まあな。ダメージソース、完全にヤンガスだもんな」 ブラウザバックでお戻りください。 2016.07.19
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