エイトくんとサザンビーク城下町


「あー失敗した、途中のテントでみかわしの服、買うんじゃなかった」
「こっちまで我慢すりゃ良かったな」

 サザンビーク城下町にある武器防具屋に、防御力の高い防具が売ってあった。そこそこ値が張るもので、ここまで溜めてきたものを使っても全員分を揃えられそうもない。しょうがないあとで稼ぎに行こう、とぶつぶつ呟きながら、最低限買えそうなものだけを購入し、装備しておく。

「お前、所持品枠に一つくらい空き作っとけよ、装備変えるのがめんどくせぇだろ」

 持っているものがいっぱいで買ったものをすぐに装備できないエイトへ、ククールがそう文句を言うが、「やですー、エイトくんはチーズのひとなのですー」と聞き入れそうもない。腹が立ったのでとりあえずその頬っぺたを摘まんで引っ張っておいた。

「つかさ、折角買ってもさ、錬金釜の待ち時間ゼロのせいで、そっこでさんぞくのオノに錬金されちゃうから、可哀そうだな、バトルアックス」
「まあなあ。材料の片割れがとうぞくのカギっつーのもあるしな」
「絶対みんな持ってるもんな」

 購入直後にそのまま錬金釜に放り込まれた可哀そうな武器のため、とりあえず両手を合わせて祈っていれば、「手を合わせたところでできるものは変わらないわよ」とゼシカにつっこみを入れられてしまった。



「おい、エイト、お前にはこの本必要だろ」
「なに?」
「ひらがなの本。字の練習すれば少しは頭も良くかもよ」
「失敬だな! エイトくん、字は読めますし書けますし! 買ってくれるならせめて漢字練習帳にしてください!」




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2016.07.19