エイトくんとサザンビーク城


「らせん階段だぁ!」
「あんたはそれ以外に興味持てないの?」

 広く民に開かれている城だそうである。豊かな国であるため城も立派で、歩き回るだけでも楽しめる場所だというのに、我らがリーダは城の作りや美術品には目もくれず、塔内部のらせん階段を見つけて目を輝かせていた。
 城に勤めているのだろう人々から話を聞いて回り、やはり簡単には魔法の鏡を借りられそうもないこと、盗賊が押し入ったけれど被害はなかったこと、そして次期国王である王子がどうしようもない人物であることを聞く。謁見の間に続くホールに飾られた絵画を見る限りではかなりの美少年だとは思ったのだが、実際に会ってみれば髪型と服装しか似ていない、気がする。

「ククール、たまに無茶苦茶なこと、言うよな」
「たまにどころか、いつも無茶苦茶なことを言うどこかの誰かさんとバランスとってやってんだよ」

 現国王、クラビウス王から王子護衛の条件を言い渡され、それで必要なものが手に入るのなら、としぶしぶ了承する。その話をする前に、国王はどうしてだかエイトの顔を見てひどく驚いていたのである。その反応に気がついたククールが「知り合いだと言って押し通せ」とエイトに無茶振りをしてきた。国王自身が「他人の空似だ」と言っていたのを聞いていないのだろうか。

「知り合いの振りっつってもな。『やっだー、超久しぶりー、元気してたぁ?』とか言えばいいのか」
「何で若干オネエ入ってんだよ」
「絶対やめてよね、エイト」
「兄貴、下手すりゃ王さま怒らせて打ち首でがすよ」



「うちのトーポくん、超かわいいでしょう? 正面からのショット、横からのショット、お尻ショットもご用意いたしました!」
「いやまあ、可愛いけど、誰がどうやって撮ったんだよ、この写真」




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2016.07.19