エイトくんと王家の山 「メタルスライムがいっぱいいる!」 「目で見えると確実にあいつらだけと接触できるから、レベル上げ楽でいいなぁ」 王家の山へ入る手前で銀色に輝く素敵なあいつを追い回し、そこそこ力をつけてからトカゲのエキスを浴びて山へと向かう。 正直期待していなかったとはいえ、チャゴス王子の一太刀はまるでダメージになっていなかった。すぐに逃げ出しておきながら、もっと大きなものが欲しい、とは我がままにも程がある。 「うちの陛下と姫殿下が出来た方々でほんと良かった」 「トロデ王もときどきちょっと我がままだけど、アレに比べたら可愛いものね」 「おっさんのはなんつーか、『おっさんの我がまま』なんでがすよ」 「言ってもトロデ王、ちゃんと自分で旅には出てるしな。戦闘はオレら任せでも」 「錬金釜も直してくれたしね」 「あれは本当にありがたい。陛下が手先器用で助かった」 図らずトロデ王の評価が仲間内で跳ねあがっていた。 対して、ミーティア姫の背中に無理やり乗り、その上鞭まで撓らせた王子の評価はだだ下がりである。 馬車を引く白馬がトロデーン国の姫だという話しか聞いておらず、彼女の容姿がどのようなものか、人格がどのようなものかはまるで分からない。それでも、この王子と将来的には結婚しなければならないというのは、気の毒で仕方がなかった。 「まあとりあえずは、呪いを解くためにドルマゲス追いかけないとな」 「そのためにここに来てるでがすからね」 「そうね、さっさと魔法の鏡をもらいましょ」 「おーい、魔法の鏡! そろそろ移動するぞー!」 「ぼくをアイテム名で呼ぶのを止めろっ!」 あのふっくらした肌色の塊は、サザンビーク国の王子などではなく、そのうち魔法の鏡という重要品と交換するための一アイテムだと認識することにした一行だった。 ブラウザバックでお戻りください。 2016.07.19
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