激情の終着点・結 寝不足で倒れたエイトの寝顔を見ながら思った。 面倒くさい奴だ、と。 何でもかんでも分からないこととあれば尋ねてくるし、しまいには自分の感情まで尋ねてくる。自分の感情でさえ掴みきれないのに、他人の心まで面倒みきれるわけがない。 その上世界の中の自分を想像できないときた。ここまで他人に厳しく、愛想のない存在も珍しいだろう。表面上人懐っこそうに見えるが、それは彼がそうするべきだと思い込んでいる結果。実際にそれは思い込みではなく彼の判断は正しいわけで、そうしなければ彼はここまで生きてこれなかったかもしれない。 今までの彼はとてもうまくやってこれていたのだろう。おそらく誰も気づいちゃいない。自分が気づけたのは彼という人間と真正面から向き合ってみたから。無理やり抱いたことがその切っ掛けである、というのがなんとも情けないがそもそも格好の良さなど始めから何処にもない。 彼は彼に優しくない世界へ醜くもしがみつき、何とか生きようとしている。 そんな彼にあっさりと心を奪われて締まった自分も、酷く間抜けだろう。 けれどもう、格好悪かろうが良かろうが、そんなことを気にする余裕もなくなった。仕方がない、惚れた相手が心底面倒くさい人間だったのだから。その面倒くさい彼が自分の中で最優先事項らしいことに気づいてしまった。気づいてしまったからにはもう戻れない。 好きなものは好きなのだ。おそらくエイトがこういう性格でなければ惚れていなかっただろうから、わざわざ面倒くさい奴を好きになる自分も相当面倒くさい奴なのだろう。もう開き直るしかない。 自分はエイトのことが好きで、エイトは自分を嫌ってはいないらしい。 ついでにたまに抱かせてくれたりもするし、体の相性だって悪くない。 その現状に何の不満があるのか。 あるはずがない。 ←7へ ↑トップへ 2006.09.09
誰がプロポーズをしろと言ったか。 ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。 一応これが小具之介が考えるエイト像であり、 二人の関係の基本でもあります。 今回ククールばかりなのは、エイトはもう出来上がっちゃった人格なので、 変わるとしたらククールの方しかなかったわけです。 |