キミの笑顔 ― color ― 0 恋とは綺麗な想いだけではないのだ、ということをエイトは彼女を好きになって初めて知った。ただ見ているだけで満足なんてできない。だからといって手を伸ばせる場所にいる存在ではなく。 凄く辛かったのは覚えている。恋とはこんなにも辛いことなのか、と己の心を恨めしく思ったりもした。どうして彼女なのかと。どうしてもっと手の届く位置にいる人間ではないのか、と。 それでもそういった思いをひっくるめて、やっぱり彼女が好きだとそう思った。 それほど想っていた相手の視界に自分は入り込んでさえいない、という現実を直視するにはまだ幼すぎたのかもしれない、とエイトはそう己の心を分析する。幼く、弱いからこそ一人では耐えられなかった。 恋とは落ちるものではなく、堕ちるもの。 まさしく堕ちるように恋をし、それを失ったエイトを慰めたのは綺麗な青い瞳を持つ優しい人だった。同性ではあるけれど、どこまでも温かい人。他人の温もりがこんなにも心地よく、安心できるものであることを、エイトは彼と体を繋げて初めて知った。 こんな弱くて情けない姿を晒せるのは彼にだけだ、とそう思っていた。 2へ→ ↑トップへ (1はunderにあります。) 2008.04.21
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